荒木若干 「荒木若干」の記事

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平凡な話なんてない!エネルギー全開な農業エッセイ漫画『百姓貴族』

みなさんは、牛のエサがおいしいことはご存知だろうか。 噛み砕くと香ばしさが口いっぱいに広がる。そして食べる手が止まらなくなる。 ビールのおつまみにぴったりだ。 さて…筆者の頭がおかしくなった訳ではない。 本当に食べたことがある。 現在は廃業してしまったが、昔、私の実家では牛を飼っていた。 育てた牛を食肉用に出荷する、畜産業を営んでいたのだ。 そこで、牛の世話を主だってやっていた叔父に「牛のエサ、うまいから食べてみーや」と言われ、口に運んだ、というのが経緯。

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若者たちのリアル。『ソラニン』を読んで憧れ、共感し、そして自分が大人になったことを感じた話

今回ご紹介する漫画『ソラニン』は、そんな若者たちのモラトリアムが描かれている作品だ。 そして私には気づいたことがある。 それは、登場するキャラクターたちに対して「こいつらの考え方、若いな…」と先輩風を吹かしている自分がいること。 しかし、20歳頃に読んだ時は「分かる、分かるぞ!その感じ!」という思いを抱いていた。 もっと言うと、初めて読んだ高校生時代には「大人だな、この人たち!憧れちゃうぜ!」だった。 『ソラニン』は読むタイミング、自分の年齢によって読後感が変化する漫画だと思う。

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当たり前を当たり前じゃないものに。海賊たちが生きた時代『ヴィンランド・サガ』

おじさん臭いことを言うが、歴史にはロマンがある。 現代のようになんでもかんでもデータで残る時代じゃない訳で、いくら文献を読み込んでも人々の暮らしの隅々までは分からない。 だからこそ「あの頃はこうだったんじゃないか」と想像することが歴史の楽しみ方の一つだ。 歴史に思いを馳せること。ロマンだ。ロマンでしょ?ロマンです! しかし「あの頃」は殺し合いや略奪、奴隷制が当たり前に存在していた。 現代に生きる中で、特に日本に住んでいるとなかなか理解できない感覚だ。ロマンという言葉だけで歴史を見ていて良いものか?時々、考えてしまう。 どこにも記録が残っていない悲しい話や、薄暗い気持ちになる出来事も数多いだろう。虐げられ、苦虫を噛む人だっていたはずだ。 それが「当たり前」。いつも通りの日常で、普通だった。 『ヴィンランド・サガ』はその時代の「当たり前」を変えようとする人物たちの物語である。

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夢を追う父親の背中に息子は何を見るのか『花男』

「ちょっとお父さん!しっかりしてよ!」 世界中で、このセリフがどれだけ言われてきただろうか。 物悲しい気もするし、それぐらいの方が変に気を使わない間柄なんだな、とも思える…いや、やっぱり物悲しい気がする。 夢追い人な父親と、現実的な息子。 その関係性が次第に変化していく様子に、自然と胸が熱くなってしまう。 そんな素敵な漫画が、松本大洋の描いた『花男』である。少女漫画『花より男子』の話ではないです。

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卓球漫画なのにヒーロー漫画。胸熱くなる物語が凝縮された『ピンポン』

漫画における「ヒーロー」には様々なタイプがいる。熱血漢やクールなタイプ、ひょうきん者、怖さ危うさを併せ持つ性格…。 この記事を読んで頂いているのであれば、あなたが漫画好きなのは十二分に察せられる。 ということは、あなたの中にもお気に入りのヒーローがいるはずだ。 もしかしたら、それは漫画のキャラクターではないのかもしれない。尊敬する著名人有名人、家族、友達の中にいる、と言える方もいるだろう。 自分にとっての「ヒーロー」とは誰か。読むと、そんなことを考えてしまう漫画が『ピンポン』だ。

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きっとあなたも主人公の女子力、主夫力に「ウッ」ってなる『極主夫道』

私ごとで恐縮だが、現在こうしてライターなどの仕事をしているかたわら、主夫としても生活している。 料理や洗濯、掃除など、普通のことならある程度はこなせる自信がある。 しかし、誰かに何かを言われることがない分、ついついサボってしまうことも。 「あかんわ…やらなあかんわ…」と思いながら布団に潜ってしまい、昼寝することもしばしば。起きた時の後悔が半端ない。まじであかんわ。 そういう状況なので、今回レビューさせて頂く『極主夫道』を読むと、笑いながらも主人公の女子力、主夫力の高さに「ウッ」と思ってしまう。

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彼らと私たちの世界に違いなんてない『土星マンション』

ネットやテレビで目に入る悲しいニュースや、自分の身の回りで起きた「しんどいな」って思ってしまう出来事。ちょっと嫌なことがあると現実逃避したくなりますよね。私はなります。 そして、そんな時こそ漫画だ!とページをめくる。 でもそこには、いや、そこにも私たちの世界と変わらないものがありました。 『土星マンション』の深みをあなたにもぜひ味わってみてほしい。

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もうすぐ30歳ですがどうにかして今から高校球児になれませんか?『おおきく振りかぶって』

私は高校時代、漫画研究部だった。「漫画を研究する!」と意気込んで毎日部室に篭り、毎日漫画を読んでいた。いや、描いてもいましたよ。9対1ぐらいで。 休日も本屋に通った。友達の家に遊びに行くこともあったが、そこでも漫画を読んでいた。 「高校」という青春ど真ん中にそういった暮らしをしていたおかげで、今こうして漫画について文章を書けるわけで、それについて後悔はしていない。 ただちょっと、ほんのちょっと、小指の爪の先ぐらい、時々思う。 「甲子園、目指したかったな」って。