ましろ 「ましろ」の記事

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大事に使われ続けたモノは、かわいい女の子に変身する『しゅきしゅき大手記さん』

『しゅきしゅき大手記さん』。口に出すのは少し恥ずかしいタイトルだが、いたって健全な4コマ&ショートストーリー漫画だ(ちょっとエッチなネタもある)。 高校に通うため、モノフェチの少年がやってきた祖父の骨董店は、付喪神(つくもがみ, 長い年月を経た道具などに神や精霊(霊魂)などが宿ったもの)たちの巣窟だった。「ヒト」と「モノ」を巡る、騒がしくも物悲しい物語が始まる。

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平成の終わりに、伝説の少女ギャグ漫画『B.B.Joker』をあらためて読んでみた

母親の影響で、私は学生時代からよく4コマ漫画を読んでいた。当サイト「まんが王国ラボ」でも、4コマ漫画のレビューを中心に書かせていただいている。 さて、4コマ好きを標榜するからには、この作品を紹介しないわけにはいかない。1997年~2002年に「LaLa」(白泉社)で連載されていた、知る人ぞ知る伝説の少女ギャグ漫画、『B.B.Joker』だ。

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変わっているけど、きっとどこかにいる家族の物語『うちは寿!』

上から読んでも下から読んでも「小池恵子」(こいけけいこ)先生は、等身大の人間ドラマを描くのが抜群にうまい。 『ななこまっしぐら!』では仲睦まじい新婚夫婦を。『おかあさまといっしょ』では冷戦状態の嫁と姑を。良い面も悪い面もひっくるめて、現代社会で暮らす人たちのありのままの姿を、ときにコミカルな、ときにシニカルな4コマ漫画で表現する。

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原作よりも面白い?あの人気作品のスピンオフ漫画3選

「スピンオフ」とは、人気作品の番外編や、サブキャラクターを主人公にした派生作品のこと。昔から存在するジャンルですが、近年ますますその数が増えている印象があります。中には、スピンオフのほうが元ネタの作品より有名になる場合も……。 そこで今回は、原作を知らなくても楽しめる、もちろん知っていればさらに楽しいスピンオフ漫画を3つ紹介したいと思います。

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彼女のおニクに誰もが夢中になる。ぽっちゃり女子4コマ『さわらせてっ!あみかさん』

あみかさんは、手芸用品店で働く27歳。10年前に両親を亡くしてから、中学生の妹とふたりで暮らしている。 家計は決して豊かではないけれど、ふたりの生活はいつも幸せで満ちている。それはひとえに、周りの人を優しく包み込むあみかさんの太陽のような性格と、あみかさん自身を物理的に包み込む豊満なおニクのおかげだ。 もちもちのほっぺ。ぷるぷるの二の腕。ぷよぷよのお腹。むちむちの太もも。重量感と弾力たっぷりな彼女のおニクを見た人たちは、必ずこう口にする。『さわらせてっ!あみかさん』――と。

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好物は他人の不幸話。不謹慎ヒロインによる明るい学園コメディ『黒森さんの好きなこと』

1948年に創業した出版社「ぶんか社」。TVドラマがスマッシュヒットを記録した『義母と娘のブルース』の原作漫画の発行元でもある。 ぶんか社が毎月発行している漫画雑誌に、「本当にあった笑える話」(通称「ほんわら」)シリーズがある。読者から投稿された体験談・目撃談をコミカルに漫画化しているのだが、掲載されるネタは「楽しくて笑える」ものだけではない。むしろ、浮気、借金、芸能人のゴシップなどのエピソードも多かったりする。 今回は、そんな「ほんわら」をいかにも愛読していそうなヒロインを紹介したい。他人の不幸が何よりも好きという、『黒森さんの好きなこと』の黒森冥(くろもり・めい)だ。

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記憶をなくした人々が静かに暮らす、ここは最後の理想郷『ラストピア』

この漫画は、何よりもまずタイトルがいい。最後の理想郷――『ラストピア』。たった5文字の中に、本作の優しくも儚げな世界観が凝縮されている。 単行本の表紙にも、アルファベットで小さく「LAST UTOPIA」と書かれている。しかし、私にはこのタイトルの「トピア」が「ユートピア」だけでなく、「ディストピア」の意味も含んでいるように思えてならない。 物語の舞台となる架空の島・エオニオ島。きれいな景色と、料理がおいしいホテルと、いくつかのお店がある、ありふれた観光スポットだ。変わっていることといえば、住人の多くが記憶喪失であることくらい。

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『信長の忍び』だけじゃない!重野なおき先生のオリジナルギャグ4コマ特集

群雄割拠の戦国時代に突如として現れた天才・織田信長。「神速」と恐れられた彼の行動力と決断力の裏には、ひとりの女忍びの活躍があった――。 TVアニメも3期まで放送されている『信長の忍び』の魅力は、ギャグ4コマ×戦国時代という今までになかった組み合わせにあります。本作から派生したスピンオフも多く、作者の重野なおき先生は「戦国4コマ」の第一人者と呼んでもいいでしょう。 しかし、元々は戦国4コマではなくオリジナルの4コマ漫画を描かれていた方で、個人的にはそちらのイメージのほうが強いんですよね。もちろん現在の活躍ぶりはうれしいのですが、またオリジナル作品も描いてほしいな……と思うこともしばしば。

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35歳、独身、借金持ち。負け組中年男が救われる話『野村24時』

漫画の登場人物は、基本的に年を取らない。学園モノの先生キャラがいつの間にか年下になっていたり、自分のほうが年上になってからもお姉さんキャラを「○○姉(ねぇ)」と呼んだりしてしまうのは、よくある話だろう。 かくいう私も、子どものころは自分と同年代の主人公が冒険する少年漫画に心を躍らせていたはずなのに、気がつくともう30過ぎ。数年後には「アラフォー」の入り口、35歳に足を踏み入れる。 そう。知る人ぞ知るヒューマンドラマ4コマ『野村24時』の主人公、野村と同じ年齢に。

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170cmの長身ヒロイン…ただし小学4年生。『おおきなのっぽの、』を読んで、小学校時代を振り返ってほしい

小学生のころは、「学校」が世界のすべてだった。足の速さが、そのままクラス内での序列になる。お腹が痛くても、トイレに行けばからかわれるから我慢するしかない。給食に嫌いなメニューが出てくる日は、登校する前から憂鬱に。 今にして思えば、どうしてあんなに視野が狭かったんだろうと笑ってしまうかもしれない。けれど、あのときの私たちは本気で悩んでいたのだ。 『おおきなのっぽの、』の主人公、古戸蛍(ふるど・ほたる)もそのひとり。彼女の悩みは、小学4年生にして170cmに達している、高すぎる身長についてだった。