古賀 詩穂子 「古賀 詩穂子」の記事

レビュー

変人オタク・ヤマザキマリ流の伝記漫画がわかり易くて面白い!『スティーブ・ジョブズ』

ヤマザキマリと言えば、古代ローマと日本の温泉をテーマにしたコメディ『テルマエ・ロマエ』が有名だ。 彼女は「変人」のことが大好きだ。 テレビ番組「アナザースカイ」に出演した際にも『プリニウス(『博物誌』を著した古代ローマの博物学者でかなりの変人らしい。彼女はプリニウスを題材とした歴史漫画を連載していた。)』の紹介をする際に鼻息が荒くなっていた。 変人とは字のごとく変な人のことだが、たしかにプリニウスはローマ時代山が噴火した時に人々が逃げる中、ただ一人噴火した山に向かって走り出すなど知的好奇心で周りが見えなくなる「知るため」には手段を選ばない変わり者だった。

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寡作な漫画家・豊田徹也が描く映画のワンシーンのようなショートストーリーズ『珈琲時間』

漫画記事を書くなら僭越ながらぜひ紹介したいと思っていた大好きな漫画家の一人に、豊田徹也先生がいる。 学生時代、彼のデビュー作『ゴーグル』(講談社)を本屋でジャケ買いしたのがきっかけで彼を知った。 瞬時に「好きだ」と思った。物語合間合間の余白の作り方が秀逸で、映画館で映画(とくに情緒のある人間ドラマのような映画)を観ているときのような味わい深い時間の流れ方に、良いものを読んだ時に出るため息がでた。 デビュー作『ゴーグル』はアフタヌーン四季賞夏の四季大賞を受賞している。審査員であった故・谷口ジロー氏に「ほとんど完璧な作品だ」と言わしめたほどの実力の持ち主だ。

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大友克洋カバーデザイン、ニューウェーブ時代の旗手・白山宣之の遺作集『地上の記憶』が凄すぎる。

わたしは書店で働いている。 書店で本を陳列する時、大きく3つの手法で並べられる。「平積み」「面陳」「棚差し」の3つだ。 「平積み」は新刊だったり、お店のいわゆる売れ筋を展開することであり、言葉の通り平台に積み上げることを言う。 「面陳」は面を出して陳列することであり、平積みほど多くは売れるものではないが、お店で注目してほしい本を売る時に使う。 「棚差し」は棚に1~2冊差さっているもののことであり、店舗の色として残った本だ。平積みや面陳がお店の売上を支えているものだと言うならば、棚差しはお店の哲学を支えているものだと言えるだろう。

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『こどちゃ』作者・小花美穂が描く、怖いけど読みたくなるトラウマ漫画『パートナー』

私が小さいころ家の近所にレンタルビデオ店GEOがあった(今もあると思う)。 そこでは当時流行っていたコメディ映画「マスク」が壁一面に並べられていた。私はあの頃、「緑に塗られた外国人の顔」が怖くて怖くて、大泣きしたのである。それ以来GEOに一人で行った記憶がないし、平気になったのは大人になってからだと思う。 子供の時のトラウマは、なかなか忘れられないものがある。 今回紹介する『パートナー』は私にとっての初めてのトラウマ漫画である。怖くて泣いたとまではいかないが、しばらく近所の本屋の『りぼん』のコーナーに一人では近寄ることができなかった。

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「世にも奇妙な物語」好きに伝えたい!ゾクッと感がたまらない短編集『ユートピアズ』

私はホラーが苦手だが(お風呂や寝る前に怖いシーンを思い出してしまう)、秘密結社を想像したり、人間の怖さにゾクッとさせられたりする話は大好物だ。 「世にも奇妙な物語」(フジテレビ系列) 「やりすぎコージーの都市伝説」(テレビ東京系列) 「週間ストーリーランド」(日本テレビ系列・2001年に放送終了) これらの番組が好きな(もしくは好きだった)人に、ぜひ読んでほしい漫画がある。 うめざわしゅん先生の『ユートピアズ』だ。

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ヴィレヴァンで青春時代を過ごした大人に。思い出せトキメキ!『恋文日和』

遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」は私の大好きな本屋の一つだ。(愛知県出身としては発祥の地が名古屋ということが誇りである。) 小学校の時は見てはいけないような大人の世界にドキドキしながら、中学校の時は雑貨を前に友達とゲラゲラ笑いながら、高校の時は好きな人と趣味が合うかソワソワしながら、大学の時は面白い漫画をリサーチしにワクワクしながら遊びに行っていた。

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18年前の「りぼん」でアンドロイド彼氏!ぶっ飛び設定の『電動王子様タカハシ』

©亜月亮/集英社 毎月18万部発行されている少女コミック誌「りぼん」。(SHUEISHA AD NAVIより) 世の中には一体どれだけの「りぼんっ子」がいるのだろうか。 世代ごとに思い出の作品が異なり、飲み会で「なんの世代?」なんて盛り上がることができるのは長く愛されてきた雑誌だからだと思う。 かくいう私は「りぼんっ子」だ。 1990年代後半から2000年代前半にかけてが私の現役りぼんっ子時代だった。

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意外性しかない!学食のおばちゃんが主役の恋愛漫画『うどんの女』

©えすとえむ/祥伝社フィールコミックス 「やられた」と思った。 この漫画を読んで、この発想に気づけなかった自分に悔しさを感じるほどだった。(漫画を描いているわけでもないし、漫画の編集者というわけでもない。ただの漫画好きなのだけれど。) 「やられた」と思った理由は二つある。

まとめ

「1巻で読み切れる傑作は?」と聞かれたら即答する漫画3選!

「おすすめの漫画はなんですか?」 これは書店員をやっていて訊かれる質問ランキング上位に入る。 ご来店されるお客さまだけでなく、家族、友達、初対面の人にも尋ねられることも多い。 この質問は答えるのが難しい。薦めたい漫画はものすごくたくさんあるから。もちろん訊いている本人たちは悪気がなく、純粋に「どの漫画を読めばいいのか」を知りたいのだと思う。商業コミックは月に1000点近く新刊が出続けているので選び方がわからないのは当たり前だ。 だから私は常に、すぐ答えられるものを何パターンかで用意している。

まとめ

干物女向け・やる気スイッチを押したいときに読む漫画3選

朝は5:00に起床してお花に水をあげてヨガをして、家事を終えたら豆から拘った珈琲とモーニング。 さて、1日のスタート☆……なんて生活の人、本当に実在するのだろうか。   最近はお休みがあると専ら睡眠時間に費やしてしまう。酷い日には二日酔いで半日過ごしてしまうこともある(化粧を落とさないまま寝て後悔することがよくある)。外に出ればやる気が湧いてくるのに、家の中にいるとどうもオフモードだ。習い事・部活・アルバイト……「行けば楽しいのだけれど、行くまでが面倒臭い」という干涸びた状態に気を抜くとよくなってしまう。少しでも共感してくれる人がいるならば、嬉しい(仲間意識)。