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ハイスペックなイケメン攻め様の執着愛はありかなしか?大人カワイイ婚活奮闘BL『please,marry me!!』で検証してみた

顔良し、スタイル良し、性格良し。本気で惚れた相手には一途で、おまけに料理の腕もバッチリ。そんなハイスペ男子は無条件で正義だと思ってやまない100%外野の自分ですが、日塔てい先生によるラブコメ集『please,marry me!!』を読んでその信仰心が若干揺らいでいます。 爽やかな笑顔を浮かべたイケメンがあの手この手を使って外堀を埋め、ターゲットを完全包囲する手管はアウトかセーフか。ときめきと寒気がほぼ同一量で味わえる執着愛の是非を問わせてください!

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変人オタク・ヤマザキマリ流の伝記漫画がわかり易くて面白い!『スティーブ・ジョブズ』

ヤマザキマリと言えば、古代ローマと日本の温泉をテーマにしたコメディ『テルマエ・ロマエ』が有名だ。 彼女は「変人」のことが大好きだ。 テレビ番組「アナザースカイ」に出演した際にも『プリニウス(『博物誌』を著した古代ローマの博物学者でかなりの変人らしい。彼女はプリニウスを題材とした歴史漫画を連載していた。)』の紹介をする際に鼻息が荒くなっていた。 変人とは字のごとく変な人のことだが、たしかにプリニウスはローマ時代山が噴火した時に人々が逃げる中、ただ一人噴火した山に向かって走り出すなど知的好奇心で周りが見えなくなる「知るため」には手段を選ばない変わり者だった。

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寡作な漫画家・豊田徹也が描く映画のワンシーンのようなショートストーリーズ『珈琲時間』

漫画記事を書くなら僭越ながらぜひ紹介したいと思っていた大好きな漫画家の一人に、豊田徹也先生がいる。 学生時代、彼のデビュー作『ゴーグル』(講談社)を本屋でジャケ買いしたのがきっかけで彼を知った。 瞬時に「好きだ」と思った。物語合間合間の余白の作り方が秀逸で、映画館で映画(とくに情緒のある人間ドラマのような映画)を観ているときのような味わい深い時間の流れ方に、良いものを読んだ時に出るため息がでた。 デビュー作『ゴーグル』はアフタヌーン四季賞夏の四季大賞を受賞している。審査員であった故・谷口ジロー氏に「ほとんど完璧な作品だ」と言わしめたほどの実力の持ち主だ。

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35歳、独身、借金持ち。負け組中年男が救われる話『野村24時』

漫画の登場人物は、基本的に年を取らない。学園モノの先生キャラがいつの間にか年下になっていたり、自分のほうが年上になってからもお姉さんキャラを「○○姉(ねぇ)」と呼んだりしてしまうのは、よくある話だろう。 かくいう私も、子どものころは自分と同年代の主人公が冒険する少年漫画に心を躍らせていたはずなのに、気がつくともう30過ぎ。数年後には「アラフォー」の入り口、35歳に足を踏み入れる。 そう。知る人ぞ知るヒューマンドラマ4コマ『野村24時』の主人公、野村と同じ年齢に。

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女子大生が恋をした相手は……。映画を通して近づく2人を描いた『水曜日のシネマ』

これは、1つのラブストーリー。ヒロインは、アルバイトを始めたばかりの18歳女子大生。そして恋をした相手は、42歳の店長だった……。これが、『水曜日のシネマ』の大まかなあらすじだ。この作品がユニークなのは、24歳もの年の差恋愛が描かれているという点だけにあらず。映画紹介漫画としても読めるところだろう。 作中には、実にさまざまな映画が登場する。例えば、「ニュー・シネマ・パラダイス」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、「E.T.」、「フォレスト・ガンプ」などなど。これらは、いわば名作と呼ばれている映画だ。観たことはなくとも、タイトルだけなら知っているという方も多いだろう。これらの作品が、『水曜日のシネマ』のストーリーに大きく絡んでくる。

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この作品は私をどんな感情にさせたいのか?『バスタブに乗った兄弟〜地球水没記〜』

『絶望の犯島―100人のブリーフ男vs1人の改造ギャル』を描いた鬼才、櫻井稔文が描く最新作が、とにかく面白い。とにかく面白いのだが、私はいま、このレビューを書くことを希望した過去の自分を呪っている。どう考えても、言葉を尽くして面白さが伝わるような作品ではないのだ。というよりも、正直「表紙を見てください」とだけ言って終わらせたい気持ちである、今。表紙を見てください。

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セックスレス・不倫・人生崩壊……『ただ離婚してないだけ』の玉ヒュンっぷりがすごい

渡辺ペコ先生の『1122』や、ハルノ晴先生の『あなたがしてくれなくても』のように、セックスレスをきっかけとした夫婦のすれ違いや葛藤を描く漫画が増えている。 本田優貴先生による『ただ離婚してないだけ』も冷めきった夫婦が主人公の作品だ。

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弟、突然の抱きたい宣言!ドジッ子兄×パーフェクト弟の兄弟BL『おれの弟の本日のおねだり』シリーズ

ここまで可愛い兄弟BLがあっただろうか。ドジっ子兄とパーフェクトな弟の兄弟が繰り広げる兄弟BL作品『おれの弟の本日のおねだり』シリーズ。 こちらのシリーズは『おれの弟の本日のおねだり』と続編『おれの弟のはじめてのおねだり』が刊行されており、弟のおねだりに翻弄される兄のお話が表題作として描かれています。 可愛らしい見た目とエッチな描写が魅力的な今作品。弟のおねだりに翻弄されながらも一生懸命に応えようとする兄が、読者の心を掴むこと間違いなしです!

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大友克洋カバーデザイン、ニューウェーブ時代の旗手・白山宣之の遺作集『地上の記憶』が凄すぎる。

わたしは書店で働いている。 書店で本を陳列する時、大きく3つの手法で並べられる。「平積み」「面陳」「棚差し」の3つだ。 「平積み」は新刊だったり、お店のいわゆる売れ筋を展開することであり、言葉の通り平台に積み上げることを言う。 「面陳」は面を出して陳列することであり、平積みほど多くは売れるものではないが、お店で注目してほしい本を売る時に使う。 「棚差し」は棚に1~2冊差さっているもののことであり、店舗の色として残った本だ。平積みや面陳がお店の売上を支えているものだと言うならば、棚差しはお店の哲学を支えているものだと言えるだろう。

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『こどちゃ』作者・小花美穂が描く、怖いけど読みたくなるトラウマ漫画『パートナー』

私が小さいころ家の近所にレンタルビデオ店GEOがあった(今もあると思う)。 そこでは当時流行っていたコメディ映画「マスク」が壁一面に並べられていた。私はあの頃、「緑に塗られた外国人の顔」が怖くて怖くて、大泣きしたのである。それ以来GEOに一人で行った記憶がないし、平気になったのは大人になってからだと思う。 子供の時のトラウマは、なかなか忘れられないものがある。 今回紹介する『パートナー』は私にとっての初めてのトラウマ漫画である。怖くて泣いたとまではいかないが、しばらく近所の本屋の『りぼん』のコーナーに一人では近寄ることができなかった。