空港には、人生が詰まっている!?読めばきっと飛行機に乗りたくなる『前略 雲の上より』

レビュー

新年度が始まり、この春から新社会人になられた方も多いのではないでしょうか。朝の通勤電車では、初々しいスーツ姿をちらほら見かけます。

慣れない仕事、気を遣う職場。学生時代は楽しい旅行だったはずの遠出も、仕事の出張となれば神経も体力も一層使いますよね……。

そこで、新社会人の方々へのエールを込めて、これを知っていれば出張も楽しさ倍増(!?)な漫画をご紹介します!

前略 雲の上より
©Makoto Takemoto・Kuro Inootsu/講談社

意識高い系の今どきの若手社員・桐谷は、強面課長の竹内と初出張で北海道に赴くことに。 出張当日、桐谷を待っていたのは羽田空港での厳しい指導。しかも、それは仕事上のことではなく、空港・飛行機に関する無知さに対して―!?
日本各地の空港を巡りつつ、課長から飛行機・空港の魅力について徹底的に叩き込まれる桐谷。彼は果たしてどんな成長を遂げるのか……。

飛行機愛の強すぎる竹内課長と、それに振り回されつつも大切なことを学び取っていく、新人・桐谷の成長の物語です。

こちらの漫画、一番の見所は強面&格好良いオジサマ・竹内課長の名言の数々です。
桐谷は冷静にツッコミながらも、飛行機・空港の魅力に「ハッ」と気付かされ、感化されていきます。

「始めての空港で 展望デッキへの道を探す…これを超えるアトラクションは どの遊園地にも存在しない」

「人生は…滑走路のようなものとは思わないか?」

その魅力を語りつつ、最後は人生訓に結びついていく(?)キメ台詞の数々。
これらの台詞、何を意味するのかは実際に漫画を読んで確かめてください(笑)

課長の飛行機愛は、空港だけに留まらず、飛行機のチケット予約の段階から始まります。
そして、新幹線に乗っても、何故か飛行機の話に戻ります。

1つのことをここまで掘り下げられる課長の洞察力。毎日の平凡な出来事も、気付いていない魅力がまだまだ隠されているのだろうな、と思わされます。自分の視野の狭さがもどかしいです。

そして、空港のビューポイントを抑えつつ、空港で垣間見える人間模様にも話は及びます。

里帰りしたOL、多感な子供を連れたお父さん。桐谷と竹内課長のシュールのやり取りの間に絶妙に「いい話」が盛り込まれていて、読むときっと家族に会いに行きたくなります――勿論、飛行機に乗って。

もはや仕事の話は全く出てきません。

各地の空港の特徴、オススメのグルメまで交えてその魅力を紹介し尽くすこの漫画。
これを読んでから飛行機に乗れば、きっと往復の道中まで楽しい旅路となること間違いなしです!
出張の前だけでなく、飛行機に乗る前には是非読んでみてください。

前略 雲の上より/竹本真/猪乙くろ 講談社