新生活が始まる4月。一人暮らしの自炊を助ける料理漫画『きのう何食べた?』

レビュー

4月は新年度。1年のなかでも身の回りの変化が多い月です。
ご自身やご家族の卒業、入学、就職、転勤などで、去年度と暮らしのスタイルが変わったという方も多いのではないでしょうか?

なかには生まれて初めて実家を離れ、一人暮らしを始めるという人もいるかと思います。

一人暮らしは最初こそ不安だらけかもしれませんが、慣れると気楽さと自由さが相まって、楽しくなってくるものです。

あなたは自炊派?外食派?

そんな一人暮らしの人々の間でたびたび話題になるのが、各々の生活スタイルについての話。中でもよく出てくるのが、食事の自炊派・外食派論争です。

安さと栄養バランスを重視する自炊派。
時間節約とクオリティを重視する外食派。

どちらにも理があり、結局は各々の好み次第…というところ。
家探しにおける、賃貸派と持ち家派みたいなもので、絶対の解はないのでしょう。
ですが、僕はどちらかというと自炊派です。

そうなった理由が、今回紹介する『きのう何食べた?』でした。
この漫画を読むと、誰もが台所に立ちたくなってしまうのです。

描いているのは『西洋骨董洋菓子店』『フラワー・オブ・ライフ』や、
ドラマ化・映画化した『大奥』などの作品がある、よしながふみさんです。

きのう何食べた?
©Fumi Yoshinaga/講談社

リアルな生活者目線で描かれる、男二人の食生活

『きのう何食べた?』の主人公は、弁護士の筧史朗さんと美容師の矢吹賢二さんのゲイカップル。作中では主に、一緒に暮らす二人の自宅での食生活が描かれています。

仲良しな二人ですが、つくる料理は対照的。
几帳面に仕事をこなす史朗さんは、栄養バランス・見た目ともにそつなく。
対照的に賢二さんは、おおざっぱながらも美味しく食べられるものを…という印象です。

セリフのなかで、しっかりとレシピの手順・分量が説明されるので、
ストーリーをたのしみつつ、作り方を覚えられてしまいます。

また、料理を描くにあたって、料理そのもののシーン以外まで丁寧に描かれているところもポイントです。
料理漫画の多くは、(当たり前ですが)料理の工程にフォーカスするのが常です。ですが『きのう何食べた?』では、料理する人が、スーパーでお買い物をしたり、冷蔵庫を開けたりしながら考えていることまで描かれています。

そのおかげか「これならうちでもできるかも…!」と素直に思えるんですよね。

仕事終わりに、冷蔵庫に残っているものを思い出しながらスーパーに立ち寄り、セール品に心惹かれつつ買い物し、料理して、食べる。史郎さんたちはそんな日々を、実に楽しそうに過ごしています。彼らの様子を見ていると、自分もこんな風な自炊ライフを送りたい…!と思わずにはいられなるはず。

僕も当然そうなった一人です。よく作るのは、コミックス5巻に登場する豚汁です。めんつゆを入れるのがポイントで、飽きずに何度も食べてます。

この4月からは自炊を始めよう、という方には大変おすすめのマンガです。
近所で無理なく通えるスーパーを見つけたら、『きのう何食べた?』で覚えたレシピを思い浮かべながら行ってみると、とっても楽しいと思いますよ。

きのう何食べた?/よしながふみ 講談社