ダンディズムとギャップは正義。おじさまフェチは全員『てんちょう、ダメ、絶対』を読んでくれ

レビュー

ジャニーズよりも阿部寛が好き? 分かる。わたしも。
 
ピチピチの若い美男子よりも、貫録のあるシワを顔に刻み、大人の余裕と優しさで包み込んでくれる……、そんな「おじさま」が好きな方、きっといますよね。
 
今回ご紹介する『てんちょう、ダメ、絶対』に登場するのは、おじさまフェチの女の子。
理想のおじさまとの出会い、そして恋。
 
おじさまのダンディズムにゆっくりと溺れていく…………のが王道なんですけど、そうもいかない恋愛模様をぜひご覧ください。

 

てんちょう、ダメ、絶対
©柴なつみ/集英社
 

雪の日に出会ったのは、理想のおじさま、の、はずだった

 
本作のヒロイン・七森結(ななもりゆい)、21歳。
スマホの待ち受けは阿部寛、ガチなおじさまフェチの女子です。
 

 
ある雪の日、飲み会の帰り道。
訳あってスマホとサイフとスカートを失った結は、段ボールで下半身を隠しながら路上で震えていました。
 
そこで、彼女は運命の出会いを果たします。
 

 
なにも言わずに、マフラーとコート、そしてお弁当を差し出してくれた謎の渋い男性。
 

 
はい落ちた。
 
推定40代、おそらくムキムキの筋肉質。
男らしくて誠実そうな雰囲気で「不器用ですから」とか言っちゃいそうな彼は、結にとって理想のおじさまそのものでした。なお薬指に指輪もなし。
 
どうしても彼にもう一度会いたいは結は、彼がくれたお弁当を手がかりに「聞き取り調査してくる!」とお弁当屋さんに向かいます。
 

 
そして、無事に理想のおじさまと再会。
 
彼は、このお弁当屋さんで働くスタッフでした。
若い店員に「てんちょー!」と呼ばれるおじさま。結は当然「店長さんだったんだ!」と思います。
 
あれよあれよとこの弁当屋でバイトをすることになった結は、最後に「店長」と自己紹介を交わします。
 
まずは結。「アルバイトに来ました、七森結です。21歳です」
 
そして、理想のおじさま店長。
 

 
CV.高倉健。違う違う。
 
彼の名前は滝沢天頂、弱冠16歳。店長ではなくてんちょう君。
 
ピッチピチのピュアな男子高校生でした。
 
ダンディなのは見た目と声だけ、中身は「女の子と何を話していいか分からない」「生クリームとお母さんのごはんが大好き」というかわいくて不器用な弟キャラ。
 
見た目も中身もおじさま希望の結は、ここであっさりハートブレイクです。
 

てんちょう君のダンディーなかわいさを見てくれ

 
作中では、てんちょう君の「漢ぶり」と「子どもっぽさ」の対比が、幾度となく面白おかしく描かれています。
 

 
体操服でチャリ通学のてんちょう君。
体操服がどう見てもコスプレです。そして顔と筋肉にかかる陰影がすごい。
 

 
バイト中は上履き。
未だかつて「うわば きぃぃ」なんて効果音を見たことがありません。
 
てんちょう君の高校生な一面を見るたび、結は失恋気分に。
 

 
結にピンチには迷わず駆けつけます、チャリで。
 
そして、結を騙した悪い男に顔を殴られるも、ひるまずにこう言い放ちます。
 

 
か、かっこいい~~~~!!!
 
でもセリフだっせぇぇ~~~~~~!!!!!
 
この見た目と中身とセリフの歪なコントラスト、読めば読むほどクセになります。
 
結、てんちょう君はちゃんとダンディだよ。
年齢と子どもっぽさだけを理由に恋が冷めるなら、ぜひこちらにチャンスを譲ってほしい。
 
と言いつつ、結とてんちょう君はこの後ちゃんと恋愛展開に。
その模様はぜひ本編でご覧ください。
 
わたしも、てんちょう君のダンディズムとギャップ目当てに続きを読みます。
 
 
てんちょう、ダメ、絶対/柴なつみ 集英社