「脱いでしまう美男子」だけでここまで面白い。どうか『剥き出しの白鳥』の中毒性にふれてくれ

レビュー

人生28年目。これまで数あるトンデモ設定の漫画を読んできましたが、この度「露出狂の男子高生が織りなす学園ドラマ」という新ジャンルにふれて動悸が止まりません。
 
そんなわけで、今回ご紹介する作品は『剥き出しの白鳥』です。

 

剥き出しの白鳥
©鳩胸つるん/集英社
 
少年誌掲載できる健全な漫画ですが、全体的に剥き出しなので心してご覧ください。
 

 
本作の主人公は、名門・千麗館高校に通う男子高生の白鳥飛(しらとりかける)くん。
 
頭脳明晰、容姿端麗、運動神経バツグン、親は外交官。
誰もが憧れ褒めたたえる美少年で、その実はゴリゴリの露出狂です。
 
「は、どういうこと?」。分かる、私も思った。
 
教室で、廊下で、校庭で、音楽室で。白鳥くんは人目をはばかりながら制服を脱ぎ捨て、誰にもバレないよう全裸になって学校中を駆け回ります。
 
そう、それは自由で優雅な白鳥のように。
 

 

<そして毎回危機を迎える>

 
「誰にもバレないように全裸で校内を駆ける」って、まあ普通に考えたら無理ゲーですよね。
白鳥くんも、幾度となく露出狂バレの危機を迎えます。
 
例えば、廊下で。
 

 
例えば、校庭で。
 

 
例えば、音楽室で。
 

 
ダメだ。馬鹿だろコイツ。好きだ。
 
校内にゴリゴリの露出狂がいたら、目撃者はもちろん驚くし叫ぶし捕まえようとするのが自然の摂理。
普通に公然わいせつ罪だからな。
 

<逃げ方が優雅>

 
全力で捕まえてこようとする追っ手から必死に隠れ、逃げ回るのですが、ここはやはり白鳥飛。
逃げるサマすら、白鳥のように優雅です。
 

 
黒板消しをパンパンして煙で顔を隠しながら、華麗なステップで相手を躱(かわ)しています。
 

 
屈強なラグビー部員の上を、ボールを持ったまま飛び越えています。
 

 
そして、驚異的な早着替えで、みんなの前に颯爽と現れます。
 

 
なんだこれ?? 私は今なにを読まされたんだ???
 
初見はたぶんそうなります。そうなってくれ。だっていろいろおかしいだろ。
 

<どんどん壮大になっていく露出逃亡劇>

 
「放課後の校舎で脱いでしまう男子」。
 
この強すぎる設定1つで、一体どこまで話を引っ張れるのか。
読み切りじゃなく連載で大丈夫か。出オチで終わらないか。
そんな私たち読者の心配も、この美しい露出狂を前にしてはまったくの杞憂。
 
生徒や教師からの露出逃亡劇は、のちに海外の特殊部隊や最新型ロボとの命がけの攻防へと発展。さらには謎の露出集団「バードファイヴ」との出会いと衝突、そして物語は予想だにしない展開へ……もう自分でもなにを書いているのかよく分かりません。
 

 
紛れもなく、これは1人の露出狂が命を懸けた青春物語です。
 
騙されたと思って、まずは試しに読んでみてください。中毒性が強すぎて、私はすでに白鳥くんの虜です。
 
 
剥き出しの白鳥/鳩胸つるん 集英社