大人が萌え狂う!!汗っかき女子×匂いフェチ男子の猪突猛進ラブコメ『あせとせっけん』

レビュー

なんやこれクッソ萌えるやんけ!どないなっとんねん!!

初めて読んだとき、胸キュンが臨界点を起こして仰け反ったまま動けなくなった。1巻発売したら絶対に買おう、そして記事を書いてみんなに布教しよう……。

と思っていたら、1巻発売で即日重版。いきなりのスマッシュヒットを叩き出した金田近鉄先生の『あせとせっけん』をご紹介したい。

あせとせっけん
©Kintetsu Yamada/講談社

汗っかき女子×匂いフェチ男子のラブコメ

好きな人のにおいって気になることがある。

優良な子孫を産むためにヒトは自分の遺伝子と遠いヒトの体臭を好む……なんて説があるが、実際に、においがシックリこないとその人が恋愛対象にならないことさえある。

抱き合ったときに首筋から立ちのぼるにおい、着た後の服に残るにおい。好きな人の体臭は「は〜〜落ち着く〜〜〜」とフガフガ嗅いでしまう、なんて人も少なくないはず。

「会社のためです!!これから毎日1週間…俺は君のにおいを嗅ぎに来ます!!」

しかし、汗っかき女子×匂いフェチ男子を描いたラブコメである本作は、もういきなり冒頭からフェティッシュ全速力なのである。

女性向けの化粧品・バス用品メーカーに務める麻子さんは、昔っから極度の汗っかき体質。ことあるごとにトイレで消臭スプレーをふりかけたり、汗拭きシートで汗を拭ったりと、制汗・消臭ケアが必須になっている。

コンプレックスに悩まされがちな麻子さんだけど、自社商品は大好き。いい香りのボディケア商品を使うことで、幸せな気分に浸れるから。

新商品のディスプレイをニコニコ見つめていたところ……。

なんと、見知らぬ男性に体臭を嗅がれるのである。

いきなり女性のにおいを嗅ぐという失礼極まりない男は、名取香太郎(なとり こうたろう)。社の人気商品を次々と生み出している気鋭の開発者だった。

聞けば、麻子さんの体臭はとてもいいにおいで、新商品プレゼンのアイデアを出すために毎日彼女のにおいを嗅がせてくれと懇願していたのだ。

いや、麻子さんの承認なしに「嗅ぎに来ます!」と言い切ってしまったのだった。

なんやそれ。

その日から、ことあるごとに麻子さんを人気のないところに呼び出してはにおいを嗅ぐ香太郎に、麻子さんはタジタジ……。しかし逢瀬を重ねるうち、ただにおいを提供する役目としてではなく、彼に魅力を感じはじめ……?

多くのラブコメは、交際するまでの期間を長く描く作品が多いが、『あせとせっけん』は交際がスタートするところからはじまる。

付き合うことになってから、それぞれのキャラクターや周辺人物との人間関係が描き出されていくのだが、これはそもそも1話目が読み切りとして掲載されたものだったから。

なんと、その読み切りがそのまま連載確定となり、連載用にリライトされることもなく雑誌に載ったのだという。なかなかスゴいことだ。

筋金入りのド変態!なのに愛らしい香太郎

売れっ子プランナーとして、ヒット商品を連発する香太郎。一見すると超デキるクリエイターであるが、繊細な嗅覚やにおいにかける情熱が大きすぎるド変態なのであった。

麻子さんとの初邂逅時、使用しているボディケア剤をすべて言い当てるわ(もちろん麻子さんからはドンドンにドン引きされる。そらそうや)。

麻子さんのにおいを早く嗅ぎたいがために昼飯はサッと食べられるサンドイッチを選択するわ。

麻子さんが泊まりに来た際などは、貸したTシャツを洗わずに撮っておこうと考えるわ、なかなか筋金入りのHENTAIなのである。

ただ、この麻子さんのにおいに対する執着も、好きな人への愛情表現を欠かさない香太郎がゆえのことであったりするのだ。

商品サンプルの残りを麻子さんに気さくにプレゼントする心優しさや、

デート時にコンタクトでない事を気にする麻子さんへのフォローとか、

つくってくれた晩ごはんに対して派手にリアクションするなど、素直で愛らしい一面を見せる香太郎。

初読は「変態だー!」という印象が強かったが、何度も読み進めるうちに、「すげえいい男やん……」と考えを改めた。

でも、さすがに彼女の残り香を嗅いで「近くにいる」と踏んだりするのは……さすがにどうかなー(白目)。

麻子さんがとにかくかわいい

で、ホントに言いたかったのはこれ!!もちろん香太郎の紹介も大事だけど……

とにかく!!麻子さんが!!めっちゃくちゃかわいいんじゃ〜〜!!!

普段は「私なんて……」と引っ込み思案な彼女が、自社製品を語らせたら少女のようなキラッキラの瞳で楽しそうに語り始めるところ。

オフィスカジュアルとは程遠い、地味な服装が常だけれど、下着がフリフリでかわいいところ。

あと、おっぱいがでかくて腰がキュッとしててプロポーションがじつはいい。「じつは」ってところがミソである。

量の調整に苦戦するも、料理が上手なところ。

この……わかりますか。肉じゃがとか、カレーとかじゃなく(もちろんそれもいいんだけど)男ゴコロを鷲掴みにする絶妙なメニューのチョイス。これ出されて惚れ直さない男、いる……??

そして、おふとん!!!

付き合ったあとも敬語がかわいい麻子さんですが、おふとんですよ!?

布団に「お」をつけるんですよ!!

「深いブルーのおふとん」って口に出して読んでみてください、ハチャメチャにかわいい響きですから。しかもこれフキダシじゃなくて独白ですからね。常に彼女が布団に「お」をつける丁寧ガールということの証なんですよ!

そしてそして、極めつけはこの顔、このセリフ!!

おあああ〜〜〜す、好き〜〜〜〜〜〜!!!

萌える!可愛いが限界突破!アルティメット欲情ォオオオ〜〜〜!!

洒落っ気のないメガネ、華やかな会社にはそぐわない地味な格好、真面目でどちらかというとカタブツなキャラクターである麻子さん。読み進めるほどに、女としての魅力が顔を覗かせてくる。

地味っ子がじつは最高にかわいいシチュエーションが大好きなみなさん、ここにまた最高のヒロインが生まれました。この世の全てにありがとう。

香太郎の欠点!?ライバル登場!?目が離せない2巻

体臭をめぐるアレコレをきっかけに、微笑ましいカップルとなった麻子さんと香太郎。

2巻は「できる社員」という印象が強い香太郎の意外な欠点が露呈したり、香太郎に恋慕する人物が登場したりと、順風満帆だったふたりにさまざまな試練が待ち構え、さらに目が離せない。

巻数を重ねて世間のみんながふたりの魅力を知り尽くす前に、萌え転がるタイミングは今!

あと2巻は、麻子さんの上司・大蔵部長の株がダダ上がりするゾ!

あせとせっけん/山田金鉄 講談社