2013年に流行語大賞ノミネートになったほどの、「こじらせ女子」という言葉。「流行に疎く、自分の女子力に満足していない女性」を意味するようですが、今ではもっと広義的で「なにかしら性格や特性に難を抱えている女性」を指すようになっているのでは、と感じます。
さて、女性ばかりがこじらせこじらせと言われる昨今ですが、男性だっていろいろこじらせていますよね??
今回は、わたしの独断と偏見で「こじらせ男子」を3人ピックアップしました。
3人それぞれ多少の難はありつつ、どこか憎めない、なんだかカワイイ、総じて「愛しいこじらせ男子」たちです。
吾輩の部屋である
©田岡りき/小学館
大学院生の鍵山哲郎が、日常のあらゆる些細な事象についてひたすら悶々ブツブツと思考を巡らせる哲学系コメディです。話の舞台は、徹頭徹尾こちらの部屋。

「好きな女の子をデートに誘った」の14文字を、これだけ長々と哲学解説しています。そんな彼に冷静なツッコミを入れるのは、照明、炊飯器、カバの置き物ら、身の回りの家具たち。このツッコミがなければ、あと5ページくらい「愛とはなにか」が続きそう。

レポート作成が手につかず、ただゴロゴロしている状況にもこのブツブツです。もはや哲学すらしていない。
身近にいたら「THE めんどくさい男」堂々第1位な、哲郎くん。でも、ブツブツと哲学っぽい思考をしながら、恋や進まない課題などの俗っぽい悩みでオロオロする彼の姿、かわいくてちょっとクセになります。
潔癖男子!青山くん
©坂本拓/集英社
続いてのこじらせ君は、超潔癖サッカー少年です。
主人公・青山くんは、富士見高校サッカー部の1年生。とても優秀なプレーヤーとして注目を集める彼が、そもそものサッカーを始めた理由はこちらです。

汗まみれの選手たちに体をふれたくない、触られたくない、手は汚したくない、泥にもまみたくない。
とにかく異常なまでに潔癖の青山くん。しかし、その潔癖さが彼のスタープレーヤーたる要因です。

要は(汚い)敵プレーヤーにふれないために、この正確なプレーが生まれたみたいです。
青山君は、華麗なドリブルで敵と一切接触せずにゴールを奪います。ゴールを決めた瞬間、チームメイトがわぁぁぁぁぁぁと群がって得点した選手を褒めたたえるのはよくある光景。
ですが青山君は、自分の元に駆けつけてくれた(汚い)チームメイトたちすら、スルリスルリと全回避。

ユニフォーム交換なんて、当然無視です。
熱く汗くさいプレイヤーたちと、涼しい顔で飄々とプレーする青山くんの温度差がとっても愉快な本作。たまに熱くなって泥まみれになってしまう青山くんのギャップもたまりません。
潔癖こじらせ男子をご所望の方は、ぜひ『潔癖男子!青山くん』をどうぞ。
お慕い申し上げます
©朔ユキ蔵/集英社
最後のこじらせは、性欲爆発したエロ僧侶のお話です。断ち切れない煩悩。

本作の主人公・佐伯清玄(さえきせいげん・きよはる)は、実家のお寺を継いで6年目の僧侶。
性格は真面目で、お寺を世襲制から解放するために「嫁・所帯をもたない」と堅い目標を掲げています。
しかし、その一方で。

めちゃくちゃ性欲が強く、セフレはしょっちゅう抱いています。
性欲に負けるたびに、お地蔵さんの前で「負けてしまいました」と懺悔する清玄。しかし、同時に「なぜあんなに気持ちいいのでしょうか」ともつぶやくように、後悔しながらも自慰やセックスを止めることはできません。
そんな清玄のもとに、ある日「お見合い相手」がやってきます。
目を奪われるほど美しい彼女は、元日本代表のマラソンランナー・清沢節子。
もともと彼女のファンだった清玄は、本人を前にしてムラムラを湧き上がらせてしまいます。

「嫁は取らない」と堅く誓っている清玄は、このお見合いを断ります。
その翌日。節子は「お見合い相手」ではなく「寺に勅使候補」として再び現れてしまいます。
お寺という神聖な場でひとつ屋根の下。
清玄は、溢れ出る煩悩(エロ)を抑え込むことができるのか。
母性本能くすぐるエロ僧侶の行く末、どうか見届けてください。全6巻です。
哲学、潔癖、エロ僧侶。皆さん、好みのこじらせ男子はいましたか??
『吾輩の部屋である/田岡りき 小学館』
『潔癖男子!青山くん/坂本拓 集英社』
『お慕い申し上げます/朔ユキ蔵 集英社』