これを読んで、いつか猫と暮らす日を夢想する。 不思議&(きっと)リアルな猫漫画×2

まとめ

突然だが、この記事を読んでいる人のおおよそ8割は、猫が好きだと思う。
(漫画が好きな人というのは、たいてい猫が好きなものだ。)
 
筆者も、もちろん猫が大好きだ。
道で猫を見かければつい追いかけてしまうし、猫のかわいい動画を延々と見ることで貴重な時間を消費してしまうこともあるし、友人知人の家に猫がいると聞けば写真をSNSにアップしてくれと懇願するし、あわよくば遊びに行かせてもらう機をうかがう。
残念ながら自身が猫を飼った経験はいまだないのだが、いつか絶対に猫と暮らしたい…!とひっそりと思い続けている。
ここでは、そんな筆者の思いをより強固なものにした猫漫画を2点紹介したい。

 

砂糖菓子のような優しくキュートなファンタジー『魔女と猫の話』

 

魔女と猫の話
©四宮しの/少年画報社
 
『魔女と猫の話』(四宮しの)は、少女たちが“魔女”を目指す世界が舞台の物語。
この世界で魔女になる素質を持つ少女たちは魔法学校に通い、13歳になると、自分の守護霊になってくれる特別な猫を呼ぶ儀式をする。
守護霊となる猫を手に入れた魔女の卵は、猫とふたりで精霊に導きをもらい、それぞれがすぐれた魔女になるための道を示してもらうのだ。
 

 

 
賢い猫たちは未熟な魔女の卵たちに、いろんな形で時には厳しく、時には優しく、たくさんのことを教えてくれる存在として描かれる。
そして、そんな猫たちに応えて少女たちは立派な魔女になるべく努力をするのだ。
口うるさく小言ばかり言って少女を発奮させる猫もいれば、小さくか弱いもの、守るべきものとして現れ、少女に大きな責任感を抱かせる猫もいる。
 

 

 
ひとりひとり性格の違う少女たちと同じように、それぞれ異なる性質の猫たちが登場すること、そして少女たちにとってその猫がどんな存在かが異なるところが面白い。
繊細で柔らかい絵柄や演出がメルヘンチックな世界観を補強する、ファンタジックな1作だ。
 

余命いくばくもない愛猫との最期の日々。『猫のとらじの長い一日』

 
徹頭徹尾ファンタジーな『魔女と猫の話』に対し、次に取り上げる『猫のとらじの長い一日』(今川はとこ)はコミックエッセイ。
愛猫・とらじが猫エイズを発症してから、その最期の日を迎えるまでの日々、そして、飼い主である著者がとらじを喪う体験を乗り越えるまでの心の動きを綴った作品だ。
 

猫のとらじの長い一日
©今川はとこ/エブリスタ
 
構成も画風もシンプルにデフォルメされていて非常に読みやすいが、ただシンプルなだけではなく、それが抑制の効いた描写につながっているのがポイント。
猫の闘病という苦しい経験、その中で時々光明のように訪れる嬉しい出来事。それらが落ち着いたテンションで描かれていく、その“余白”の多い表現が、読む者の感情をかきたてる。
 
合間に挿入される、元気だった頃のとらじと著者の1ページ漫画の微笑ましさを含め、小さな命と暮らすことがもたらす喜びと責任を強く実感させてくれる。
 
 

 

漫画で考える、人にとっての「猫」という存在

 
冒頭でも述べたとおり、筆者は猫と暮らしたことはない。
だから、これらの漫画に登場する猫が、どれくらい“リアル”なのか、本当はわからない。
でも、守るべき小さき存在であると同時に、賢く、いろんなことをよくわかっていて、われわれ人間にいろんな示唆を与えてくれる――筆者はここで紹介したような猫漫画を通じて、猫にそんなイメージを抱いている。
少なくとも、漫画家さんたちがそんなふうに描きたくなるような魅力が猫にはあることは事実だろう。
いつか猫と暮らし、これらのイメージが正しかったことを確かめる…そんな日が来るのを夢見ている。
 
 
魔女と猫の話/四宮しの 少年画報社
猫のとらじの長い一日/今川はとこ エブリスタ