怖くはないけど、苦手な方は要注意?日常系の虫漫画3選

まとめ

子どものころは虫が好きだったのに、大人になるにつれて苦手になってしまった人、いませんか?

かくいう自分も、昔はミミズやバッタを平気で触っていたはずなのですが、今は家の中にカナブンが入ってきただけでもびびるようになってしまいました。

だけど、本や動画で見るぶんには大丈夫。というわけで今回は、作中にこれでもかと虫が出てくる漫画を紹介したいと思います。

どれも日常系の作品なので安心して読める……はずですが、虫の描写がやけにリアルだったり、嫌われ度ナンバーワンの「あの昆虫」が主人公の作品もあったりするため、ご注意ください。

『麻衣の虫ぐらし』

麻衣の虫ぐらし
©雨がっぱ少女群/竹書房

まず紹介するのは、雨がっぱ少女群先生の『麻衣の虫ぐらし』。圧倒的な画力をもってホラー漫画も手がけられている作者ですが、本作はファミリー向け4コマ誌「まんがくらぶ」で連載されている作品です。

メインキャラクターは、表紙にも描かれている麻衣(中央)と菜々子(右奥)のふたり。麻衣は、入社1年目にしてリストラの憂き目に遭い、菜々子の畑の手伝いをする代わりに野菜をもらって生きながらえていました。

そして菜々子は、病気で寝たきりになった祖父の介護をする傍ら、祖父の畑の管理をしています。農作業にも嫌な顔ひとつせず一生懸命に取り組む、家族想い、友達想いの天使。

しかし、この菜々子。虫も殺さないような顔をして……畑の害虫を駆除しまくります。農家だもの。

虫に関する豆知識も随所に散りばめられているものの、雑学漫画というわけではありません。身の回りに虫がいることが当たり前の環境で暮らす、女の子たちのゆるやかな生活を綴った物語と言ったほうがいいでしょう。

生きた土の匂い。家族や友達、近隣の人たちとのあたたかなつながり。都会に暮らす私たちが忘れてしまった「ぬくもり」が、この作品には残っています。

それにしても、麻衣たち人間はもちろん、虫の描写のリアルなこと……。

本当に虫が苦手な方は、「こんなところに高い画力を使わなくても」と思ってしまうかもしれません。

『ごきチャ』

ごきチャ
©雨がっぱ少女群/竹書房

あるところに、ひとりぼっちの女の子がいました。

心ない人たちに迫害を受けていた彼女は、自分のことを誰も知らない場所でならやり直せると信じ、意を決して北海道に引っ越します。けれど、そこでも踏みつけられたり、毒物を食べさせられそうになったり。

どうして人々は、そこまで彼女を嫌うのか? しかたないんです。だって、彼女はゴキブリなのだから――。

『ごきチャ』は、ゴキブリが萌え擬人化されているという、色々な意味で衝撃的な作品。

モチーフはともかく、見た目はかわいいのだから優しくしてあげたらいいのに……と思ってしまいますが、どうやら作中の人たちには、彼女がゴキブリそのものに見えているようです。

当然、見つかれば叩かれたり、殺虫スプレーをかけられたりと散々な目に。それでも人間を憎まず、逆に人間と仲良くなろうと健気に尽くすごきチャの姿は、本物のゴキブリが嫌いな方でも応援したくなるはず。

出オチ漫画と思うなかれ。世界名作劇場のような、さわやかな読後感があなたを待っています。

本作を読んだあとなら、家の中でゴキブリに出くわしても、きっと優しく接してあげられるのではないでしょうか? ……いや、それはやっぱり無理かも。

『スケッチブック』

スケッチブック
©小箱とたん/マッグガーデン

最後に紹介するのは、2007年にテレビアニメ化された『スケッチブック』。

……え、『スケッチブック』は美術漫画だろうって?

たしかに、主人公の空(そら)たちは美術部員ですが、彼女たちが絵を描くシーンはほとんど出てきません。作中のエピソードは主にあるあるネタ、虫(動植物)ネタで占められていて、最近はそれこそ「虫漫画」と言っても過言ではない状態に。

その理由、というより元凶が、美術部の2年生・栗原先輩の存在です。髪型も触覚っぽい。

美術部じゃなくて生物部に入るべきだったのでは? と思うほどの虫好きで、野外スケッチに出かけたときも、絵はそっちのけで昆虫採集や自然観察に精を出します。

特に、名前や分類がややこしい虫の話(「イナゴ」と呼ばれるバッタ、蝶々みたいな蛾、赤くない赤とんぼ、……)は栗原先輩の独壇場。

部員たちが「○○と××の違いは?」と話していると、どこからともなく栗原先輩が現れて解説講座を始めるというのが、もはやお約束になってしまいました。

そんなこんなで、今や美術ネタよりも虫ネタ、主人公の空よりも栗原先輩の出番のほうが多くなっている本作。

タイトルは『スケッチブック』なのに……と考えてしまいますが、「女の子たちの日常を四角の枠(4コマ)に切り取って描いた作品」という意味であれば、あながち間違っていないのかも。

おわりに

以上、3作品を紹介いたしました。

虫に関する雑学が身についたり、虫そのものが主人公だったり。読めばあなたも虫が好きになる! ……かどうかは保証できませんが、虫への印象が少し変わるかもしれませんよ。

麻衣の虫ぐらし/雨がっぱ少女群 竹書房
ごきチャ/るい・たまち 芳文社
スケッチブック/小箱とたん マッグガーデン