ルールを知らずとも楽しめる!ストーリーにハマれる将棋漫画3選

まとめ

ここ数年、将棋が気になっている。
 
きっかけとなったのは、天才将棋少年を中心に棋士たちの戦いを描いた漫画『3月のライオン』。アニメ、実写映画と立て続けに映像化され人気を博した本作は、人間模様を丁寧に描き、将棋をよく知らない私でも楽しめる漫画だ。
「神武以来の天才」と言われた加藤一二三九段のメディア露出や、新時代の天才として今もなお高みを目指し続けている藤井聡太七段の活躍によって、世間的にも、将棋は身近な競技として認識されるようになったと思う。

自分がプレイヤーにはならずとも、将棋に触れる機会はぐんと増えたのではないだろうか。
 
実は、『3月のライオン』に限らず、将棋を描いた漫画はまだまだ沢山ある。そこで今回は、ルールを知らずともきっと読み込んでしまう将棋漫画を3作品紹介していこうと思う。
 
 

リアルな棋士の世界を知るならこの作品!『将棋の渡辺くん』

将棋の渡辺くん
©伊奈めぐみ/講談社
 
羽生さんや藤井くんといった棋士の名前は知っているけど、彼らは一体どんな生活を送っているんだろう?
「棋士」の実態を知るならこの作品がオススメ。
 

 
渡辺くんこと渡辺明棋王の日常を綴ったノンフィクション漫画『将棋の渡辺くん』だ。本作を描くのは、渡辺棋王の奥さんである伊奈めぐみさん。
 

 
本作の面白さは、なんと言っても渡辺棋士のキャラクターの強さ。
例えば、渡辺棋士のぬいぐるみ好きエピソードは見ていてほのぼのしてしまう。
息子とぬいぐるみを介して会話をしたり、希望するものをもらえるというタイトル戦の副賞で「となりのトトロ」のぬいぐるみをもらったりと可愛らしい一面をお持ちだ。他にも大の漫画好きだったりいつでもボックスティッシュを持ち歩いていたりと親近感が持てるエピソードが満載。
 
また作中では、棋士のなり方から一日の生活リズム、給料システムまで、棋士のいろはがわかりやすく紹介されている。一職業としての棋士に興味が湧くはずだ。
 
 

賭博×将棋はもはや命がけ?トンデモ展開にワクワクする『ハチワンダイバー』

ハチワンダイバー
©柴田ヨクサル/集英社
 
棋士の実態を知っていただいたところで、こんな変わり種漫画はいかがだろうか。
 

 
『ハチワンダイバー』は、賭け将棋を生業とする「真剣師」を描いた物語だ。主人公の菅田は、かつて棋士を目指して奨励会(プロ棋士の養成所)に通っていた。しかし、夢破れて日銭を稼ぐために賭け将棋を始めるように。人生をかけて棋士を目指していただけあって、真剣師としての腕は上々。182戦0敗と勝率10割を守り続けていた。
 
しかし、菅田を揺るがす存在が。
「秋葉原の受け師」と呼ばれる最強の女性真剣師だ。菅田が何度彼女と対局しても負ける一方。ついには全財産を賭けることに……。
 

 
女性真剣師はなぜ賭け将棋の世界に?そして最強と呼ばれる腕前を持つようになった理由とは?
 
将棋を指していたと思ったら殴り合いで決着をつけたり、盤上の攻撃が炎や衝撃波で可視化されたりとストーリーが進むにつれて対局シーンにアクション要素が加わっていく本作品。キャラクターが全身全霊で将棋を指す姿に、思わず力が入ってしまうはずだ。
 
 

女流棋士たちの闘いがここに。『しおんの王』

しおんの王
©かとりまさる・安藤慈朗/講談社
 
最後に、女流棋士の戦う姿も見ていただきたい。
『しおんの王』は、12歳にして女流棋士となる安岡紫音が主人公。
 

 
棋士の父を持つ紫音は、4歳の時に両親を目の前で殺害され、そのショックから声を失ってしまう。唯一の手がかりは、犯人が殺人現場で盤面に向かい駒を指したこと。
 
幼いながらに両親を殺害したのは、将棋を指せる人物ではないかと推測し、犯人を突き止めるために棋士を目指すように。
 
将棋にミステリー要素が加わった本作。殺人事件の解決と並行して楽しんでいただきたいのは、女流棋士たちの闘いだ。
 

 

 
将棋は金目当てだと言い切る斉藤歩に、キレ者で上品な将棋を指す二階堂沙織。『ハチワンダイバー』のような対局の派手さはないが、静かに闘志を燃やし盤面を彩っていく表現は女流棋士ならではかもしれない。
そして紫音の宿敵となる二人もまた、将棋に力を注ぐ大きな理由が……。だんだん謎が明らかになっていくストーリー展開に、飽きることなく読み進められるはずだ。
 
以上、それぞれ毛色の違う将棋漫画3作を紹介した。どの作品を読んでも、将棋にハマるきっかけになるはずだ。
 
 
将棋の渡辺くん/伊奈めぐみ 講談社
ハチワンダイバー/柴田ヨクサル 集英社
しおんの王/かとりまさる・安藤慈朗 講談社