やっぱりガタイのいい男が好き!雄臭さで魅せるベテラン『梶本潤』作品3選

まとめ

1999年のデビュー以来、BL街道をひたすら突き進むベテラン作家・梶本潤。先生の魅力はなんといってもゴツゴツとした骨太の肉体美。白くしなやかな美少年ではなく、男性フェロモン漂うガタイのいい体を見たいんだ!という方にはピッタリの作品ばかりです。好きな男を前にして湧き上がる欲望、そしてそれをストレートに表現した性描写と熱いセリフ、ベテランならではの安定感あふれるセンスに痺れます。今回は最近の作品を中心にオススメ3冊を選んでみました。

パンイチのエロお兄さんが可愛すぎる♡『欲望とスープ』

欲望とスープ
©梶本潤/海王社

まずご紹介するのは料理上手な世話焼きDK・玖太(きゅうた)×素直になれないヌードモデル・瑛知(えいち)のカップリング。受の職業からして最初から最後まで梶本先生の画力を思う存分堪能できる仕様となっており、特にヌードモデル瑛知のパンイチ姿はため息が出るほど美しいです。

ガチムチでもなく細マッチョでもない、適度な肉感と骨っぽさを感じさせるこの体型。眼福すぎます。職業病なのか瑛知は肌を露出させていることが多いので常に色気がダダ洩れ。甥と叔父の関係である二人はとある事情で同居しているのですが、こんなエロお兄さんと同居する甥っ子の玖太は、自らの成長とともにドキドキが止まりません。

生活力ゼロの瑛知に甲斐甲斐しく世話を焼きながら、密かに恋心を募らせていく玖太。寡黙で口下手な彼が人知れず瑛知に対して愛を囁く表現こそが、タイトルにもなっているスープ作りなのです。

単純に空腹を満たす行為であるはずなのに、玖太が瑛知にお手製のスープを与えるシーンは禁断の儀式のよう。媚薬か何かを飲ませているような妖しい雰囲気が漂うその理由は物語の後半、玖太の告白で明らかになりますのでお楽しみに。冷静に考えると結構怖いかもしれませんが(無論最高です)。

元ヤクザの本気のセックスがすごい『長男のトリセツ』

長男のトリセツ
©梶本潤/海王社

梶本先生の描く色気のある雄臭い体。それはハードボイルドな職業にこそ見事マッチしていると個人的に思っています。その一例が『長男のトリセツ』に登場する元ヤクザの松木

老舗旅館の長男・悠弦(ゆずる)の孤独な境遇に自身の過去を重ねた松木は、悠弦のために組を抜け、長年にわたり彼を陰ながら支える情深い男。何度も手術を重ね、刺青を消した彼の体には悠弦への強い愛情と覚悟の程が見て取れます。口で語らずとも内面から優しさが滲み出る逞しい背中、それが本当にカッコいいんですよ…。

話が進むにつれてお互いの想いを伝え合い、愛を確かめる二人のセックスはそんな松木の性格を裏付けるかのように激しく情熱的です。一生に一度の愛だからこそ下手な小細工など必要なし。黙って悠弦を見つめる視線が、節くれだった太い指先が、抗おうにも快楽を求めて暴れてしまう筋肉が、描写すべてが渾身のエロさです。

終盤では組の跡目争いに巻き込まれる場面もあり、元ヤクザならではの凄みと悠弦だけに見せる松木の表情にギャップ萌え。誰よりも強く優しく愛する人を守る孤高のアウトロー、その存在はいつの時代も腐民の心を惹きつけてやみません。

梶本エロスここに極まれり!『夜の薗田』

夜の薗田
©梶本潤/ジュネット

さて、最後に推すのは上記二作よりもさらに濃厚なこちら。料理バー薗田の店主・薗田伊吹とエリート官僚・千賀博人による大人のラブストーリーです。

高校の同級生である二人は8年ぶりに偶然再会。叶わない恋だと諦めていた薗田は自身の思いが通じた途端、今まで抑えていた欲情が溢れまくります。

シャツをはだけさせ、恋人を押し倒す薗田の行動たるやすさまじく、男を通り越してもはや雄の塊のような迫力に圧倒させられます。しかもこの作品、嬉しいことに一話につき1Hの大盤振る舞い。同じカップル、同じ場所なのに様々なパターンで描き出される豊富なアングルと官能的なセリフが相まって何度読み返しても飽きません。

肝心の裸体は過激すぎるので気になる方はぜひご一読を。一流の料理人は一流の舌を持っている。その事実が脳裏を掠めるほど、恋人の体を料理尽くしている薗田に感動すら覚えます。もちろん、性描写だけでなくストーリーも面白いので読み応えアリ。学生時代の辛い記憶や家族とのわだかまりを乗り越えた二人には、ひたすら甘く溶けてしまうほどのハッピーエンドが待っています。

まとめ

いかがでしたでしたか?均整の取れた逞しい肢体を存分に動かし、恋に仕事に自身の心に熱く向き合う梶本潤BL。「俺の生き様を見ろ!」と言わんばかりの男らしい体や仕草を眺めているだけでなぜか心強く、ポジティブな気分になれるから不思議です。これは教科書のダビデ像や映画でドウェイン・ジョンソンを見た時と同じなんじゃないでしょうか。

さらに梶本先生の作品では一途に愛を貫くカップルが多く、外見と合わせて内面の男らしさも備わったキャラクターが魅力です。ひとたび惚れたら5年でも10年でも愛し抜くなんてザラ。その姿を追っていると現実に聞こえてくる浮気や不倫の話が薄ら寂しくなりますが、とりあえずこの極上ファンタジーを読んでいる瞬間だけは紛れもなく幸福なのです。

なお、今回ご紹介した『欲望とスープ』には続編である『スパダリDKに欲情しすぎて困惑してます』、『長男のトリセツ』は『若旦那の恋は憂鬱』、『夜の薗田』は『野良猫は愛を知らない』のスピンオフと、それぞれ関連シリーズがあります。どれから読んでも違和感なく梶本ワールドに入り込めますので、ぜひベテランならではの多彩な作品を思う存分お楽しみください。

欲望とスープ/梶本潤 海王社
長男のトリセツ/梶本潤 海王社
夜の薗田/梶本潤 ジュネット