甘く蕩けるハッピービーエロ(BL)!ファンタジー系の殿堂「灰崎めじろ」作品3選

まとめ

そこそこの腐女子ならば一冊は読んだことがあるであろう灰崎めじろ作品。2013年の商業誌デビュー以来、短編長編問わず多くの作品に共通して描かれているのは、激甘ラブストーリーに美形キャラ、そしてシズル感たっぷりの濃厚エロス。

ここ数年のBLブームにより悲恋や病み系などのシリアステーマが増える一方で、めじろ先生の漫画はどれも幻想的で美しく、ハッピーエンド絶対主義の土台によって最初から最後までずっと安心して読んでいられます。なので出勤前でも夜寝る前でも、ページを捲ればいつでも胸キュン♡ 時にすれ違い、困難に立ち向かいながらも見目麗しい男たちが互いに愛を囁き、絡みつく様子にほっこりと癒されます。

どれを選んでもハズレなしですが、なかでも個人的にお気に入りの作品を3つ紹介させてください!

一作目にしてこのインパクト『少年ポルノ玩具』

少年ポルノ玩具
©灰崎めじろ

まずオススメしたいのが、鮮烈なるデビュー作『少年ポルノ玩具』。縄で縛られながら恥じらいの表情を見せる少年が何とも言えない表紙に、このタイトル。少年、ポルノ、玩具、の3ワードをすべて並べるとこんなに危険な香りを放つんですね。

憧れの小説家と新米編集者がSMプレイに興じる表題作『恋愛ポルノ小説家』をはじめ、養護教師と教え子、弁護士と不幸な御曹司などなど、モデルばりのイケメンと天使のように愛くるしい美少年による甘く切ないラブストーリーがなんと6本、珠玉の読み切り短編がセットになったボリューム満点の一冊に仕上がっています。

攻めはカッコよく男前、受けは健気で可愛くを基本に描かれており、どのカップルも紆余曲折あれど最終的にはハッピーエンドで終わるのが嬉しいです。さらに、晴れて両想いとなった暁に待ち受けているラブシーンでは、積もりに積もった愛情がとにかく大爆発します。

死ぬまでに一度は言われてみたいド直球の告白を手始めに、堰を切ったように繰り広げられるセックスは豪快かつ繊細な描写で見ごたえあり。

例えばこんなシーンです…と紹介するために改めて読み返してみましたが、めじろ先生、どれもエロ過ぎて選択不可…。精一杯頑張ってこのカットが限界やった…。

いちゃいちゃの続きが見たいという方は、ぜひ本誌にてご確認ください。一冊のうち半分は絡んでいるんじゃないかと思うほど、仲睦まじいカップルたちにうっとりと癒されるはずですよ。

触手プレイと両片想いを同時に楽しめる『鬼が慕うは祟り神』

鬼が慕うは祟り神
©灰崎めじろ/libre

続いてはこちら。短編が多い先生の漫画の中で貴重な一冊まるごと1カップルの長編作品です。大きな戦と飢饉が起こった古の日本を舞台に、孤独に永久の時を過ごす山の神「しい様」と、身寄りのない鬼と人のハーフ「椿丸」が出会うところから物語は始まります。

褐色の肌に白髪、額から生える尖った角。異形ゆえに賊に囚われ、見世物として好奇の目に晒されていた椿丸。

そんな彼を救ったのは、人々を守るため祟り神となった大黒椎の化身、しい様でした。瘴気が漂い獣一匹たりとも生きることができない死の森でも、人と鬼のハーフである椿丸だけは同じように過ごせると分かり、二人はともに暮らすようになります。

だかしかし、ここで椿丸の食料問題が勃発。森には生きものはおろか草一本も生えていないし、鬼は本来人の精気を食らうと聞くし…。と、細かな設定をお膳立てした上でめじろ先生が放ったスペシャルエロ、いや、打開策がこれまたすごかった!

なんと、しい様の体に伸びる木の根、そこに詰まった汁を与えてやるという画期的なアイディア。も、もしやこれって触手プレイへの布石、なのか…?

そんな読者の淡い期待を裏切ることなく、しっかりと魅せてくれるのが安心と信頼のめじろ印。

色香が漂う美しい青年へと育った椿丸はしい様の木の根で腹を満たすとともに、鬼特有の強力な性欲を鎮めるべく、その触手で自慰を手伝ってもらうようになります。しかも最初は一本だったのに、いつしか無数の触手によって至れり尽くせり…

椿丸の恋心を知りながら、「悪しきモノを背負って朽ち果てていかねばならん儂に、あの子を付き合わせるわけにはいかぬのだ…」と必死に本心を抑え、あくまで自慰を手伝うだけのしい様が非常に切なくもどかしい。お互いを密かに思いやる恋の行く末はいかに――!?人間ではできないダイナミックな文字通りの神技プレイを拝見するとともに、儚くも優しい人外同士の愛し方に温かな気持ちがこみ上げます。

公演中にまさかの…!『愛しの蜜欲サーカス』

愛しの蜜欲サーカス
©灰崎めじろ/ジュネット

ラストにご紹介するのは『愛しの蜜欲サーカス』。人付き合いは苦手だが圧倒的なカリスマオーラを放つ調教師ウルバノ(表紙左)と怪力男ランベルト(表紙右)をはじめ、個性豊かなサーカス団のメンバーが恋に仕事に大忙しする洋風ファンタジーです。

鍛え上げた鋼の肉体を武器にサーカスに入団したランベルトの真の目的は、一目惚れしたウルバノとお近づきになること。自分も動物たちのようにウルバノに微笑んでもらいたい、ほめられたい、さらに踏み込んで言えば彼にひどいことをされたい…そんなMっ気全開のランベルトは、大好きなウルバノと二人でペアショーの公演中、あろうことか観客の目の前で欲情してしまい…

こんな醜態を晒したらもうだめだ、これで嫌われちまった…と絶望しますが、それに気付いたウルバノは戸惑うどころか頬を赤く染めて「かわいい…」と一言。ショーの演目を大胆に変え、ランベルトの想いに応えるように甘く蕩けるペアショーの始まりはじまり。

該当シーンは例にもれず全力ですので一切お見せできないのが残念ですが、そこは動物の調教が仕事のウルバノですよ。軽―くハグして終わるわけがない。何も知らないような無垢な笑顔を浮かべつつ、結構な離れ技をやってのけていますのでお見逃しなく!

ウルバノとランベルトのほか、双子の画家と内気なピエロ、サーカス団オーナーと団長カップルのお話も収録されており、洋風ファンタジーの世界観を共有しながらこの一冊で二度も三度も楽しめる内容になっています。ちなみに個人的にはサーカスのお客さんたちのテンションの高さにも注目していただきたい(笑)

二次元男子たちの幸せな姿を描いた灰崎めじろ先生のハッピービーエロ(BL)はいつだって心のビタミン。日常生活にちょっぴり疲れた方、新しい刺激が欲しいという方はぜひ手に取ってみてください。

少年ポルノ玩具/灰崎めじろ
鬼が慕うは祟り神/灰崎めじろ libre
愛しの蜜欲サーカス/灰崎めじろ ジュネット