「部活漫画」と言われて浮かぶのは、どの部活をテーマにした作品ですか??
野球、野球、バスケ、サッカー、野球、バレー、テニス、サッカー、吹奏楽、野球、サッカーオッケーもういい。分かる、そうなるよな。
今回は「オススメ野球漫画30選!!」といった王道部活まとめではなく、「マイナーな部活」を舞台にした作品を4つご紹介します。「こんなカタチの青春もあったんだ……」としみじみしながらご覧ください。
のぼる小寺さん(ボルダリング部)
©珈琲/講談社
まずは、ボルダリング部です。のぼってのぼってのぼりまくっている女の子を紹介させてください。

本作の主人公は、ボルダリング部の小寺(こてら)さん。
『のぼる小寺さん』というタイトル通り、彼女の「のぼる日常」を描いた青春コミックです。
のぼっている小寺さんの、この表情、この体勢。
このカットから小寺さんのボルダリングに対する情熱がひしひし伝わってきます。
『のぼる小寺さん』を、生で見たらきっとすごいんでしょうね。
無気力な男子、ボルダリングはよく知らないけど小寺さんを好きな男子、学校がつまらない女子。そんな生徒たちが、小寺さんがのぼる姿を見て、ボルダリングや小寺さんという人間に惹き込まれていきます。

本当に、小寺さんはずっとのぼっています。
学園祭でも壁をのぼり、山に行けばのぼを登り、もうとにかくいつでものぼっています。
そして、ボルダリングの大会、そして強敵を前に、文字通り「大きな壁」ものぼります。
小寺さんがのぼるとみんなが変わる。彼女の姿はもちろん、彼女に影響されて成長していく生徒たちの姿もとくとご覧ください。
背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~(競技ダンス部)
©横田卓馬/集英社
男女でカップルを組んで、ときに激しく、ときに優雅に舞い、その技術や芸術性を競うスポーツ・競技ダンス。
成熟したレディース&ジェントルメーンが嗜むイメージがありませんか? 私はある。
しかし、本作で競技ダンスを嗜むのは、ピッチピチの高校生です。

鹿鳴館高校に入学した土屋は、新入生向けの部活紹介で競技ダンス部のパフォーマンスに圧倒されます。女性ダンサーのセクシーな衣装に鼻血も出します。
高校生であのセクシーさはすごい。(本編でご堪能ください)
ゲスな男たち共々、土屋はラッキースケベ狙いの冷やかしで体験入部に行くことに。

が、部長・土井垣(どいがき)の顔面にビビって他の生徒たちは逃走。
こんな顔とガタイの18歳怖すぎるだろ。
土井垣に捕まった土屋は、同じく逃げずに残った女子・亘理(わたり)と2人で体験入部をします。
最初は冷やかしのつもりだった土屋も、亘理のピュアな熱意にふれて競技ダンス部への正式入部を決めました。

かつて好きだった男の子にヒドイことを言われた亘理。
かつて好きだった女の子に手汗を引かれた土屋。
過去の苦い経験から自信を持てない自分に抗おうと、2人は一生懸命ダンスと向き合います。ただの頼りないチビ男だった土屋が、震える亘理をリードして踊る立派なジェントルマンに成長する姿には、思わず胸も熱くなるはず。
ぎこちなくも踊り抜こうとする2人に、部活の先輩方ともども「が、が、がんばれ~~~~!!!」と声援を送りたくなる青春漫画です。
ダイナミックなコマ割りで、ダンスの激しさや美しさがありありと伝わってくる、その画力にもぜひ注目してください。
アゲイン!!(応援部)
©久保ミツロウ/講談社
アゲイン!! もう一度!!
いや、なにを!! って感じですよね。答えは高校生活です、タイムスリップで。

友達も彼女も思い出もつくらず、無の高校3年間を過ごした今村金一郎。
ようやく迎えた卒業式の日に、彼は階段から転げ落ちる事故に遭います。
そして、3年前の高校入学式の日にまさかのタイムスリップ。
2度目の入学式で再び彼が目にしたのは、ずっと頭に焼きついて離れなかった「応援団の女」でした。

たった一人で大声を張り上げる応援団の女・宇佐美に周りはドン引き。
でも、金一郎はなぜかやっぱりこの姿に目を奪われます。
「なんで一人でこんなに頑張っているのか」「応援団なんてやってて楽しいのか」
3年前には聞けなかった問いを彼女にぶつける金一郎。

そのまま強引に入団させられた金一郎。この女のバイタリティがすごい。
本来であれば、彼女の代で廃部となる応援団。もともとは部員も多く伝統ある部活だったのですが、チア部の陰謀などに巻き込まれて衰退の道を辿ったのです。

せっかく3年前にきたなら、何かを変えてみたい。
最悪な3年間を過ごしてしまった金一郎の、最高の再・高校生活が始まります。
ヤサシイワタシ(写真部)
©ひぐちアサ/講談社
最後は、高校を卒業して大学に進みましょう。
『ヤサシイワタシ』は、写真部に所属するモラトリアム大学生たちの物語です。

もともと優秀なテニスプレイヤーながら、怪我で選手生命を絶たれた芹生(せりう)。
無気力な大学生活を送りつつ、2年生からふらりと入部した写真部で、先輩の弥恵(やえ)と出会います。
芹生が弥恵の写真モデルになるなど徐々に距離をつめ、やがて付き合うことになる2人。
ここからほのぼのとした2人の恋人生活が始まりま、せん。

プロの写真家を目指すも作品が認められない無力感。
プライドが高くて他人には威嚇的。忘れられない元カレは写真部員。
「簡単じゃないよ、あの女は」と周りに忠告された通り、わがままで情緒不安定な彼女に振り回される芹生。自分の挫折経験とも重ねながら、なんとか彼女の支えになろうとします。

なんとか、弥恵に彼女自身を大切にしてほしい。前を向いて進んでほしい。
できるなら、その隣に自分がいたい。
そう語りかけるヤサシイ芹生。
そんな彼を前に弥恵が選んだ道はとても悲しい未来でした。
2巻完結の短いお話なので、2人の行く末はぜひ本作で確かめてみてください。
ラクロス、なぎなた、三味線、エトセトラエトセトラ。
マイナー部活とその漫画を挙げ出すとまだまだ出てくるのですが、今回は泣く泣く絞ってこの4作です。高校生活をアゲインすることは不可能ですが、さまざまな青春の一端を味わってもらえたら嬉しいです。