これぞ究極の働き方改革!?ニート女子漫画特集

まとめ

「働き方改革」が叫ばれるようになって久しい昨今。プレミアムフライデーが浸透するのにはまだ時間がかかりそうですが、残業時間が減ったなどの恩恵は感じている方もいるのではないでしょうか。
 
最終目標は、8時間働けば普通に暮らせる社会?
 
いやいや。本音はみなさん違いますよね? そう、働かなくても暮らせる社会!
 
というわけで今回は、働いていない――ニートの女の子たちが活躍する漫画をご紹介いたします。
 
これらの作品を読んで、「彼女たちみたいな生活がしたい」と思うか、「やっぱりちゃんと働こう」と思うかは、あなた次第です……。

『ファーストクラスニートましろ』

ファーストクラスニートましろ
©えきあ/竹書房
 
最初に紹介するのは、家がお金持ちだから働かなくていいという、羨ましすぎる身分のお嬢様・ましろの生態を描いた『ファーストクラスニートましろ』。
 
親に用意してもらった豪邸で、メイドの銀崎とふたりで暮らしているましろ。身の回りのお世話はすべて銀崎に任せ、自分はロールケーキのように布団にくるまって漫画を読んだりゲームで遊んだり、堕落の限りを尽くします。
 

 
「まだ子どもなんだから、働いていなくて当然じゃないか」と思いましたか?
 
ところがどっこい。子どもっぽい見た目をしていますが、ましろは23歳なんです(銀崎と同い年)。いくらかわいくても、こんな23歳が本当にいたらちょっときつい……。
 
どうにかましろを真人間に更生させたい銀崎と、かたくなに布団から出ようとしないましろ。その割にやたらすばやく、ロールケーキ状態のまま銀崎から逃げ回るましろの姿は、人間というより、もはや猛獣のよう。
 
4コマ漫画でありながら、大ゴマを多用してダイナミックに描かれる、ふたりの熱い攻防にご注目ください。
 

 
本作を読めば、「自分はましろみたいにはならないようにしよう……」と、逆に働く意欲が湧いてくるかもしれません。
 
 

『桜乃さん迷走中!』

桜乃さん迷走中!
©えのきづ/芳文社
 
続いては、『琴浦さん』の作者・えのきづ先生の雑誌初連載作品。
 
就職と同時に上京してきた桜乃さん。しかし、社長が会社のお金を持ち逃げして、会社が倒産してしまいます。
 
住んでいた社宅も追い出され、いきなり職なし・家なし・貯金なしの大ピンチに。両親の反対を押し切って上京してきた手前、すぐにUターンするわけにもいかない桜乃さんは……、
 

 
第1話から迷走しまくります。はたして桜乃さんは、無事に社会復帰できるのか!?
 
本作の見どころは、短所と表裏一体な、桜乃さんの長所の数々。
 
住む場所がないからといっていきなりホームレス生活を選ぶ無謀さは、ブログや家庭菜園など新しいことに躊躇なく挑戦する行動力に。奢ってもらった料理にケチをつける空気の読めなさは、年齢や性別を問わず誰とでも仲良くなれるコミュニケーション能力に。
 

 
気がつけば桜乃さんの周りには、「無職」「フリーター」というレッテルを貼ることなく彼女自身を理解してくれる、人の輪が生まれていました。
 
知り合いが誰もいない都会でいきなり無職になってしまったら、もっと焦ったり不安になったりしてもおかしくないでしょう。そんな逆境にもめげず、東京で着実に自分の居場所を作っていく桜乃さんの前向きさに元気をもらえる作品です。
 
 

『空の下屋根の中』

空の下屋根の中
©双見酔/芳文社
 
最後に紹介するのは、『魔法少女なんてもういいですから。』の作者・双見酔先生のデビュー作。
 
主人公の香奈絵は、高校卒業を間近に控えてもなお、進路を決められずにいました。とはいえ、そうした悩みは高校生なら珍しくありません。大抵の人は、どこかのタイミングで現実との折り合いをつけて、とりあえず適当な大学に進学していくもの。
 
しかし香奈絵は、どの大学も受験せず、かといって就職活動もせず。気がついたときには……、
 

 
先に紹介した2作品がギャグ寄りの作風だったのに対し、本作ではかなりシビアにニート女子の苦悩が描かれます。
 
高校時代の同級生と再会して、すでに就職して「大人」になっている彼女たちとの意識の差にショックを受けたり。
 

 
小学生の従妹のお守りをするつもりが、自分よりよっぽど将来を見据えている彼女の言葉に心を抉られたり。
 

 
時間だけは無駄にある香奈絵は、働いている人たちにとっては当たり前すぎて考えないこと――あるいは考えないようにしていることに、悶々と思考をめぐらせます。
 
お金が必要だから働くのか? お金の心配がなければ働かなくていいのか?
 
やりたいことがあるから働くのか? できることがあるから働くのか? どちらもない人は?
 
「働く」って、なんだろう?
 
慌ただしい日々の中、ふと根本的な疑問が頭に浮かんでしまったときは、本作を手に取ってみてください。
 
 
以上、3作品を紹介いたしました。
 
働いていない彼女たちの生活を通して、あらためて働くことの意味を再確認してみてはいかがでしょうか。さて、私も仕事に戻ろうかな……。
 
 
ファーストクラスニートましろ/えきあ 竹書房
桜乃さん迷走中!/えのきづ 芳文社
空の下屋根の中/双見酔 芳文社