正義、演劇、ニセJK!セーラー服女子漫画特集

まとめ

まんが王国ラボの皆さんはじめまして、個人ニュースサイト「かーずSP」のかーずです。名刺では「二次元ヒロイン研究家」という肩書きを名乗っています。
「萌え」という言葉が生まれる前から二次元ヒロインに傾倒していった筆者による萌え語り第一弾は、王道の属性「セーラー服」。
ムシムシした夏をふっ飛ばすくらいの爽やかなセーラー服少女が活躍する漫画特集、いってみましょう!

『とっかぶ』(桑原 太矩 講談社アフタヌーン)

 

とっかぶ
©桑原太矩/講談社

問題を起こした退学寸前の生徒を集め、更生させるためのボランティア部である「特別課外活動部」、通称「特課部」。
ヒーロー志願の熱血少女・丹ノ宮沢(にのみや さわ)は、困っている人を救う「ヒーロー」活動を開始した! 頭の切れる技巧派・倉下清大(くらした きよはる)、素行不良だけど根はおせっかいの千歳悠緑(ちとせ ゆうり)を連れて、迷い犬探しや食い逃げ犯の確保など、今日も正義の活動に邁進する。

地蔵を盗む不審者にライダーキック! ホースで水をぶっかけてケンカを制止! やることなすことがメチャクチャな丹ノ宮沢。
いつも快活でアクティブ、人助けをするサワを見ているだけで元気がもらえます。読むカンフル剤とでもいいましょうか、読み手にパワーを与えてくれるヒロインなんです。

いわゆる「涼宮ハルヒ」と同じ系譜の周囲巻き込みタイプの女子ですが、サワの場合は一応、人様のお役には立っています……よ?
見た目にも「おさげ」「紺のセーラー服」「太ももまでかかる黒のオーバーニーソックス」の萌え三種の神器が強力! サワを一層魅力的に映します。
桑原太矩の最新作『空挺ドラゴンズ』にも通じる躍動感に溢れるキャラ描画。こちらも注目ポイント。

もう一人の女子部員・千歳は、サワとは正反対の白いセーラー服を着用していて、2人が並んだときの紺セーラーと白セーラーのコントラストは視覚的にもグッときます。

千歳の純情ギャルな一面もサワと好対照になっていて、Wヒロインの学園モノとしても楽しめる本作。「特課部」で、こんな青春送りたいなーという気持ちにさせてくれる、心地よい読み味になっています。

『アクタージュ act-age』(宇佐崎 しろ, マツキ タツヤ 週刊少年ジャンプ)

 

アクタージュ act-age
©マツキタツヤ・宇佐崎しろ/集英社

有名芸能事務所のオーディションで天才的な芝居をするも、不合格した夜凪景。夜凪の「メソッド演技」(役の内面に呼応して過去の感情を蘇らせる演技方法)に才能を見出した演出家の黒山墨字は、夜凪を映画業界に誘うのだった。

メソッド演技で役になりきっている時と、カメラが回っていないときの自然体のギャップがイイ。第一話から惚れました!
オーディションで棒立ちだわ、役者にケリを入れるわ。軌道の読めないエキセントリックな少女。しかし周囲に媚びず、一本芯の通っている性格に好感が持てます。
黒髪ロングのセーラー服に目線の鋭さも相まって大人びて見えますが、黒山墨字との口喧嘩の時だけは年相応の感情丸出しの表情になります。オンとオフの感情といいますか、演技する/しないとは別の二面性にも惹かれます。
メソッド演技でぴすぴすと笑顔を振りまく景が、キャラに似合わなさすぎてわざとらしい。

妹のレイは「気持ち悪い」と否定的にとらえるんですが、いやいやその不自然さも含めてチャーミング。
序盤から物語は激しく動き、様々な出会いを経て、経験値を積んでいく夜凪にこれからも注目です。

『週刊少年ガール』(中村 ゆうひ 講談社コミックス)

 

週刊少年ガール
©中村ゆうひ/講談社

毎回変わるヒロインによる、奇抜でほっこりした恋心を描いたオムニバスストーリー。
基本的にトーンや中間色を使わない、白とベタ塗りの黒によるモノトーンが特徴的な絵柄になっています。白地のセーラー服に黒い襟の映えること。

何気ない日常的な学校生活に、毎話違った「少し(S)不思議(F)」な要素が盛り込まれている本作。モノトーンの絵柄を、ときおり不思議ネタにマッチさせているのが上手いと感じます。

例えば3話の「大きすぎて気づかない」。ヒロイン・日野ちゃんの気分が模様になって、身体に張り付いてしまう不思議シチュエーション。つまり日野ちゃんの黒髪やセーラー服の襟やスカートといった黒塗りのベタ部分に、星マークやシマシマ、ハートマークの模様が乱舞するんです。その絵面のおかしさ自体がユーモラス。

このように絵柄を利用したギミックは他にもあります。
16話「ボタンをつけてやる」では、学ランのほつれた糸を引っ張ると、手足がバラバラになってしまう裁縫のエピソード、17話「君を蝕むのは」の身体が虫歯のように食われていくエピソードなど、グラデーションを使用しない画風を活かしたラブコメの数々。一度読み始めたら病みつきになりますよ。

『イモリ201』(今井 ユウ 講談社コミックプラス)

 

イモリ201
©今井ユウ/講談社
最後の一人は、セーラー服だけど学生じゃない!? イレギュラーなセーラー服の女の子を紹介。

2浪の予備校生・川島が受験に本気を出す為にアパートで一人暮らしを始める。隣の住人は、セーラー服の下にスク水を着用しているフェティッシュな格好の美少女・井森マキ。ところが彼女は缶ビールをプシュッと一杯…ちょ、それいいの!? 実は井森さん、JKに憧れているだけの無職、21歳だったのだ!

「24時間、365日、私は女子高生でいたい」を信条とするなんちゃってJKの井森さん。ムチムチのボディでエアロビクスしたり、なにかと受験生の煩悩を刺激してくる困ったニセモノJKです。それにしてもセーラー服姿でお酒であおる絵面は他の漫画じゃなかなか拝めません。

すぐにお金をアルコールに変えてしまうし、水に溶ける水着を他人に着せて警察沙汰になってしまうし、やらかしがイロイロとヒドい。
これが現実だとシャレになりませんが、マンガでは「残念美少女」という強い属性として歓迎されるのも、二次元の良いところです。

今井ユウ作品では『ちこたん、こわれる』でも細いタイのセーラー服が登場します。日常の中の非日常ギャグとして、どちらも楽しめますよ。

真夏に紹介しておいてアレですけど、冬服のセーラー服も混ざってますねっ! ご容赦ください。『とっかぶ』のサワ、『イモリ201』の井森さんはアッパー系。『アクタージュ』の夜凪景や『週刊少年ガール』に出てくる女の子たちはクール系が多いので、いいバランスで紹介できたかと思います。

筆者のセーラー服好きの原点は『究極超人あ~る』の天野小夜子。部室に棲みついていた幽霊なんですよ。ひねくれた性格とか、R・田中一郎に取り憑く自由さに惹かれていました。
時を経て、『黄昏乙女×アムネジア』の庚夕子さんに激萌えしたんですけど……この人も幽霊でした!
「幽霊の、正体見たり、セーラー服」 ほら、真夏にふさわしい怪談話になったでしょ?

とっかぶ/桑原太矩 講談社
アクタージュ act-age/マツキタツヤ・宇佐崎しろ 集英社
週刊少年ガール/中村ゆうひ 講談社
イモリ201/今井ユウ 講談社