夫婦間の問題を生々しく描く『今日も拒まれてます~セックスレス・ハラスメント 嫁日記~』 新刊配信記念!ポレポレ美先生インタビュー

インタビュー

「セックスレス」。
他人にはオープンにしづらいデリケートな問題ながら、まんが王国では人気のテーマです。
そんなテーマに鋭く切り込んだ作品の1つ『今日も拒まれてます~セックスレス・ハラスメント 嫁日記~』も、まんが王国ではランキング上位に名前を連ねる人気作品となっています。

今回は、この作品の新刊配信を記念して、作者のポレポレ美先生に独占インタビューを行わせて頂くことが出来ました!
ホンワカした絵柄とは裏腹に、赤裸々に、生々しく綴られた体験談。作品にかけた想いの強さが伝わる内容となっております。
新刊と併せて、是非最後までお楽しみください!

今日も拒まれてます~セックスレス・ハラスメント 嫁日記~(分冊版)
©ポレポレ美/ぶんか社

自己紹介をお願いします。

はじめまして。こんにちは。イラストや漫画を描いてるポレポレ美と申します。たくさんの有名作家さんの集まるまんが王国さんからインタビュー頂けるなんて嬉しいです!

漫画家・イラストレーターになろうと思ったきっかけを教えてください。

漫画家になろうと思ったきっかけは、小学校2年生の時です。
社会見学のあと「今回の体験を元に記者になって新聞を作りましょう」という授業がありまして。その時に私は「どうせ見てもらうなら楽しい新聞を作ろう!」と思い立ち、関係者から証言(?)やウラをとりながら、漫画を織り交ぜて新聞を作ったのですが、それがクラスの中でえらくウケまして。「目のつけどころが違う」「漫画家になればいい」などと皆からおだてられ、絵がヘタなのにそのままその気になってしまいました(笑)。

イラストレーターに関しても、昔から絵を描くのが好きで、物心ついた頃から「将来はイラストレーターになりたい」と考えていました。ただ、小さな頃は「イラストレーター」という職業が分からなかったので「いろんな本に絵を描く人になりたい」と言ってました(笑)。

この作品が生まれたきっかけを教えてください。

Vコミさんから「ポレ美さんの体験を漫画にしてみませんか?」と連載のお話を頂いた時に、編集さんにレスで悩んでいたことをお話したんです。それらの体験を元に作品を描いてみよう、というお話になり、この作品が生まれました。

ホンワカした絵柄とは対照的に、結婚生活での生々しい悩みが綴られていて、初めて読んだ時は衝撃を受けました。ご自身の経験談が元になっているとのことですが、赤裸々に漫画にすることに抵抗はなかったのでしょうか。

抵抗はすごくありました。

私は今まで自分のさまざまな体験をベースに漫画にしてきましたが、性にまつわる事柄については語ったことがありませんでした。この漫画を公の場で発表する事には他の恥体験以上に勇気が必要でした。

でも、連載にあたって出来事を回想したり、日記や想いを綴ったノートを読み返したりしていくうちに、考えが変わっていきました。「レス」は根深い問題で、人に言いづらい。だからこそ、自分は苦しんだし、もしかしたら私の他にも同じ悩みを抱えている女性がいるかもしれない。「やはりこれは描くべきだ」という想いに変わっていきました。

この作品でいちばん思い入れのあるシーンはどこでしょうか。

30話目の中に「お願いします。私とセックスしてください」と土下座するシーンがあるのですが、この回は当時を思い出すのが辛すぎて、半べそ状態で描いてました(笑)。

あとは、思い入れがあるかどうかは分からないのですが、50話目で過去を振り返り「辛かった。今まで本当に辛かった」と、よからぬことを考えてしまうシーンがあるのですが、これは描くのが嫌すぎました。

私はお話の内容によって気持ちが常に左右されて、その回の集中力も作業スピードも全然違うのですが、この50話目はあまりにも描きたくなくて、全くペンが進まずに〆切の前日ギリギリまでずっと机でうなっていました(笑)

ご両親やご友人など、まわりの人からのプレッシャーを感じることはありましたか?

プレッシャーは常に感じていました。

お話の中にある通り、結婚してから「レス」は二人だけの問題ではなくなっていきました。周りが次々に妊娠していき、皆口々に「早く子どもを作りなよ」と言う。焦りも生まれ、夫に協力を求めるも言い訳ばかりされてはぐらかされてしまう。自分は努力しているつもりでも、こういった問題は「女性側が悪い」ととらえられがちですし、「レス」だなんてお互いの両親になかなか言えることではない。

年賀状の家族写真には心が引き裂かれそうになり、テレビをつければ芸能人の妊娠報告や出産報告ばかりが目につきはじめるようになり、精神的にどんどん追いつめられていきました。

「セックスレス」は、まんが王国で配信されている作品の中でも人気のあるテーマです。悩まれている方も多いのだなと思わされますが、同じように悩みを抱える方にメッセージがあればお願い致します。

それだけ悩まれる女性が多いんですよね。私もこの漫画の連載を始めるようになってから読者の方や周りの友人から「実は私もレスで」と打ち明けられることが増えました。当時は誰にも言えずに一人で悩んでいたけれど、同じ悩みを抱えている女性が想像以上に多いことに驚きました。

でも、私が悩んでいた頃は「セックスレスをテーマにした漫画」というのはほとんどなくて。もしも当時に「レス」を扱った作品やエッセイ漫画があったら、多分、私は読んでいたと思うし、心の支えになっていたと思います。

この作品はレスの参考にはならないと思います。でも、「悩んでいるのは私だけじゃなかったんだな」と思ってもらえたり、何かを考えるヒントやアクションを起こすきっかけになってくれたなら、こんなに嬉しいことはありません。

影響を受けた作品や作家さん、イラストレーターさんがいらっしゃれば、教えてください。

影響を受けた漫画は水木しげる先生の『のんのんばあとオレ』です。水木先生の原点ともなった「のんのんばあ」との日常をつづったエッセイ漫画なのですが、少年のピュアな目線から語られる楽しい毎日の中に、死生観や人間ドラマのようなものが入ってくる深い作品で。「こんなにいろんなことを考えさせられるエッセイ漫画を描いてみたい!」と思いました。

お父さんが水木先生に言った「勉強なんて落第しない程度にしたらええ」「今は今でしか作れん財産をいっぱい作ることだ」。このセリフに、勉強が大嫌いだった私は何度も救われましました(笑)。NHKでドラマ化もされているのですが、漫画版もドラマ版も何度見返したか分からないほどに大好きなエッセイ作品です。

原稿を描く日のタイムテーブルを教えてください。

朝の8時頃に起きはじめ、朝ごはんを食べてお昼まで作業します。そこから長い昼寝をとって(笑)夕方頃から夕飯を食べつつ作業再開、そのまま徹夜作業になってしまうことが多いです。健康的な生活をしたいのですが、早朝か深夜が作業がどうもはかどりやすくて、困ったもんです。


ポレポレ美先生

漫画を描くうえで一番好きな作業は何ですか?

好きな作業は、ペン入れがすべて終了してからのトーンやベタ塗りです。このあたりになってくると「ああ、やっとここまできた~」と達成感がみなぎり集中力もアップします(笑)。


愛用のノート

気分転換の方法や、今ハマっているものがあれば教えてください。

気分転換には動物の画像や動画を見てます!漫画内にも登場するうさぎのアフロ(アフちゃん)が去年亡くなってしまったので、モフモフとキャワワな動物に飢えてまして。動画や画像でパワーチャージをしてます!

あとは掃除ですね。これは趣味でもあるんですが、作業に詰まったら家中の物を整理整頓したり磨いたりして、頭の中をスッキリさせてます。

今後の目標や、仕事やプライベートでやりたいことがあれば教えてください。

目標は『拒まれてます」の映像化なのですが(笑)。誰かやってくれないかなぁ(笑)。

あと、私はこの仕事をはじめて15年になるのですが、他の漫画家さんとは違ってデビューも経験せず、実力もないまま、漫画を描く機会に恵まれました。今まではたまたまラッキーだっただけなので、これからは実力が伴うように、もっと漫画の勉強をしたいと考えてます。あとは健康に気をつけつつ、大好きなこの仕事をこれからも続けることができたらいいなぁと。

プライベートでは旅好きなので、暇ができたら、2、3ヶ月ほど海外をぶらぶら放浪しながら旅先で仕事をしたいです。いろんな目標を達成して環境を整えたら、アフちゃんのようなかわいい動物を家にお迎えしたい!

熱心な読者の方へメッセージをお願いします!

いつも読んで頂きありがとうございます!私はこれまでは自分の体験をギャグ調の漫画にすることが多く、深刻な悩みも体験もどこか茶化してしまいがちなところがありました。

だけど、この漫画を描くにあたり、「笑いに変えてしまいたいなぁ」「重たいものは描きたくないなぁ」という想いは捨て、悩んでいた自分の気持ちに正直に向き合おうと考えました。

いろんなご意見や感想があると思いますが、作品の中にはその時その当時に私が考えたことや気持ちを正直にぶつけています。展開が遅くてヤキモキさせて申し訳ありませんが(笑)自分の気持ちに嘘をつかずにこのお話を描いていけたらなぁと考えています。

これからも『今日も拒まれてます」を読んで頂けると嬉しいです!

今日も拒まれてます~セックスレス・ハラスメント 嫁日記~(分冊版)/ポレポレ美 ぶんか社

今回、こちらの企画にあたって、ポレポレ美先生の直筆サイン本をいただきました。

こちらのサイン入り単行本を、3名様に読者プレゼントします!

応募方法は

まんが王国のTwitterアカウント(@okoku_hensyu)をフォローしてこちらのツイートをリツイートするだけ。

応募締切:10月12日(金)23時59分まで。

当選された方にはTwitterのダイレクトメッセージにて通知いたします。