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編集者の視点で選ぶ! 本づくりに情熱をかける“本のオシゴト”漫画3選

ここを読んでいるあなたは、人並み以上には漫画が好きですね。でも、漫画がどうやって出来上がるのかは、知らない人も多いのではないでしょうか?今回は、本を愛す人にこそ読んでもらいたい、本ができるまでを描いた作品を紹介します。出版・編集と聞くと、華やかなイメージもあるかもしれませんが、じつは作業のほとんどが地味なもの。それでも、編集者と作者の間で生まれる困難や、人間ドラマがたくさんあります。そんな“本のオシゴト”の魅力を、編集者でもある筆者の視点と併せて紹介したいと思います。

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不良×ケンカ×茶道部!?異色の茶道漫画『お茶にごす。』が異常に癒される

「茶道漫画」と聞くと、うっかり「何やらおてんばでちょっぴりドジだけれど、まっすぐで一生懸命な女子高生がお茶の道を極めて行く」漫画を想像してしまう自分がいる。多分これはものすごい偏見なのだけれど。 しかし、最近その偏見をぶっ壊されるような漫画に出会った。 「悪魔」と呼ばれるほどの強さを持つ不良少年が、茶道部に入部する漫画『お茶にごす。』だ。

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やがて変わりゆく友情を描いた『金のひつじ』は、映画『スタンド・バイ・ミー』を超えるかもしれない。

小学校の頃、毎日のように遊んでいた友達と今も頻繁に連絡を取っている人はいったいどのくらいいるのだろう。中学受験や高校受験で離れてしまったかつての友人たちは、彼らのいる場所でコミュニティを作り、そして私たちは進学した先の学校でコミュニティを作ることになって、そのコミュニティ同士が交わることがなければ、だんだん連絡の回数も減っていき、いずれは疎遠になってしまう。それは大人になった今の自分たちにも言えること。小学校の頃にあれほど仲の良かった友達の「『何人』と今も連絡を取っていますか?」というイジワルな質問をたまにしてしまうのだが、うーんと唸る相手に目を向けながら、困らせてしまったことをいつも反省している。

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人と落語を愛したカタブツ噺家(はなしか)と、その弟子の話『昭和元禄落語心中』

落語、と言われた時、どんなイメージを抱かれるだろうか。日本の伝統芸、おじいさんおばあさんの娯楽、笑点……。そもそも落語についてあまりよく知らない、という方は多いのではないか。正直にいうと私もそのひとりである。 そんな落語初心者の方こそぜひ読んでいただきたい作品がある。 心中、と聞くとドキッとするかもしれないが、怖い話ではない。本作は、落語と人を愛した噺家(落語家)の師弟とその周りのひとびとによって紡がれる、あたたかい人間ドラマだ。

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あなたに幸せのおすそわけ。座敷童子と暮らす日常漫画3選

座敷童子。子どもの姿をしたイタズラ好きの妖怪(あるいは神様)で、住みついている家に幸運をもたらすと言われています。 日本の妖怪の中でもメジャーな存在であるため、妖怪をテーマにした作品には必ずと言っていいほど登場します。そこで今回は、座敷童子が主人公格の漫画を3つピックアップしてみました。 「最近ついてないな……」と感じている方。これらの漫画を読んで、幸せをおすそわけしてもらってみてはいかがでしょうか?

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食べる理由は好きな人を忘れるため!グルメ×コメディー漫画『忘却のサチコ』

忘れたくても、忘れられないことがある。別れてしまった恋人のこと、過去にした恥ずかしい失敗、他人から言われた嫌な言葉。辛い記憶はやっかいだ。一度思い出してしまうと、なかなか頭から離れてくれない。さらには、気分を沈ませたりもする。乗り越えるためには、一体どうしたら……。   解決策は人それぞれ。阿部潤先生の『忘却のサチコ』では、主人公サチコが好きだった人を忘れるために、美味しいものを食べる。ひたすら食べる。といっても、やけ食いをするわけではない。“絶品を堪能する”という幸せな体験を通じて、辛い記憶を忘れ、一歩前へ進もうする。『忘却のサチコ』は、そんなサチコの姿を描いた、1話完結のグルメ・コメディー漫画である。

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円満の秘訣は「公認の不倫」!? 話題作『1122』で夫婦のあり方を考える「いい夫婦」って何なんだろうな。

アラサー真っ只中の筆者、結婚したり子どもができたりと周囲は家庭づくりに忙しい。幸せな夫婦像がそこにあるかと思いきや、深淵を覗き込んで見ると、どこも煙のようなものが立っている。   芸能人の不倫スキャンダルへのバッシングが昼間のワイドショーを賑わせる一方で、「昼顔」よろしく、不倫する女たちを描いたドラマは大ヒット……。酒の席なんかで幾度となく交わされる「最近セックスしてないな」の言葉。   本音と建前がごっちゃになった現代で「夫婦公認の不倫」をはじめたとある夫婦の選択が「いい夫婦とは?」という答えの出ない問に重たすぎる石を投げ込んでいる。   渡辺ペコ先生の『1122』。パートナーを考える世代は一度でも手に取ってほしい作品である。

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純粋でまっすぐな情熱がまぶしい!ロケット打ち上げを目指して奔走する『我らコンタクティ』

宇宙へロケットを打ち上げる。『我らコンタクティ』は、そんな“夢”に向かって奔走する物語である。それは惑星探査のためでもなければ、宇宙の真理を解き明かすためでもない。   目的は1つ。映写機とフィルムを一緒に飛ばして、宇宙空間で映画を上映すること。ただ、それだけ。

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学園モノ×フェチの化学変化。 「植芝理一」作品の摩訶不思議ワールドを体感せよ

現在「月刊アフタヌーン」にて『大蜘蛛ちゃんフラッシュ・バック』を連載している漫画家・植芝理一先生をご存じでしょうか? 彼の作品はアニメやCDドラマなど、メディア展開されてはいますが、その認知度はまだ“知る人ぞ知る”レベルではないかと感じています。   先生の作品は、作風のベースはごく普通のラブコメなのに、そこに作者の「フェチ」が加わることで唯一無二の作品に仕上がっています。ときにオカルト、ときにSFといった視点を持つ作品たちは、ただストーリーを追うだけではないひと味違った楽しみ方もできますよ。そんな植芝先生の作品を、時系列で3作紹介します。

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精巣ガン治療で出会ったひとの人情と、漫画家を諦めなかった武田さんの話『さよならタマちゃん』

夢を追いかけている最中にガンになってしまう――。どれほど恐ろしいことだろうか。   『さよならタマちゃん」は、ガンの闘病を描いた作品である。   武田さんは35歳の時、精巣ガンと診断される。 当時彼は、マンガ家のアシスタントで生活費を稼ぎ、奥さんと愛犬と暮らしながら、自らもマンガ家デビューを目指すという、苦しくも目標のある人生を送っていた。 本作では、そんな武田先生が夢半ばで「死ぬかもしれない」病気にかかってしまった葛藤、入院生活のリアル、そして入院中に武田さんに温かい手を差し伸べてくれ人々との交流が赤裸々に描かれる。