レビュー

俺の母さんがこんなに可愛いわけがない…! 『大蜘蛛ちゃんフラッシュ・バック』

男子たるもの、どんな人にも多少なりともマザコンの気があるもの。   実家に帰れば、なんだかんだで母親の健康や体調に気を使ってしまったり、 社会人としての姿を褒められるとつい嬉しくなってしまったり……。   僕はマザコンか、といわれると反射的に「違うわ」と言いたくなるものの、ハッキリと否定できないタイプの男子です。

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思春期の「イタさ」の追体験『さよーならみなさん』

︎『さよーならみなさん』は、読んでいてちょっと辛くなる。鬱展開である、という意味ではなく、己の黒歴史を掘り返してしまったときのような辛さだ。 思い出してみてほしい。学生時代、クラスにいつも1人で行動しているちょっと「めんどくさい」奴はいなかっただろうか。1人でずっとブツブツ何か言っていたり、自分が世界で1番不幸だと思い込んでいたり、そういうタイプの人だ。

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マッサージの快楽を浴びるマニアック作品『ほぐされ紳士、楺井さん』

積み重なる労働時間、満員電車で体力を削がれ、上司にも部下にも気を使い、それでも仕事はキッチリカッチリ結果を出す。 サラリーマンはまさに現代日本のソルジャー。 そんなサラリーマンの荒んだ心に潤いを与え、蓄積された疲労を癒すオアシスがある。 マッサージ屋である。

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飯がうまいからって仕事が進むわけじゃない。食材も調理過程も全部イカれたグルメ漫画『めしにしましょう』

そこは、漫画家广大脳子(まだれだいのうこ)の仕事場。   敏腕アシスタントである青梅川おめがは、料理の腕も一級品。作業の合間の飯は彼女が作る。過酷だと言われる漫画家の仕事場で出る料理、きっと疲れた漫画家の胃を優しく癒す素材や、徹夜を手助けするエネルギー満点の料理を出すのだろう。そして、元気になった漫画かはまた仕事場に戻るのだ……。

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あの子と一緒に全部体験して思い切り笑いたい『さぐりちゃん探検隊』

『さぐりちゃん探検隊』は、表紙の引力がすごい。 ヒロイン・さぐりの探検スタイル。極めて健全なはずなのに、ボディラインの問題なのかものすごく艶めかしい。そして彼女の、太陽のような満面の笑み。この1枚だけで、周りから愛されている子なのがひしひしと伝わってくる。一緒にでかけよう、と今にも手を引いてくれそうだ。

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失敗を受け入れてくれる人がいることの尊さ『どうして私が美術科に!?』

現代は、とにかく「失敗」が許されない世の中だ。   SNSで不用意な発言をしようものなら、即炎上。会社の上司は「失敗を恐れるな」と言うくせに、本当に失敗すると「何をやってるんだ」と怒られる。つらい。   そんな社会に息苦しさを感じている方にこそ、『どうして私が美術科に!?』をおすすめしたい。

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決してファンタジーではない。感情がたぎる人間模様を描いた『千年万年りんごの子』

友達に勧められたり、レビューの評価が高かったり、何度も名前を聞くが読めていない漫画はないだろうか。 絵柄が嫌いなわけでもないし、おそらく読めばおもしろい。 しかし、なぜか手を出さずにいる漫画だ。   『千年万年りんごの子』は私にとって、なかなか手が出せなかった漫画のひとつだ。 2012年に第16回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で新人賞も受賞しているとあって、タイトルはそこかしこで聞いていた。