講談社

レビュー

170cmの長身ヒロイン…ただし小学4年生。『おおきなのっぽの、』を読んで、小学校時代を振り返ってほしい

小学生のころは、「学校」が世界のすべてだった。足の速さが、そのままクラス内での序列になる。お腹が痛くても、トイレに行けばからかわれるから我慢するしかない。給食に嫌いなメニューが出てくる日は、登校する前から憂鬱に。 今にして思えば、どうしてあんなに視野が狭かったんだろうと笑ってしまうかもしれない。けれど、あのときの私たちは本気で悩んでいたのだ。 『おおきなのっぽの、』の主人公、古戸蛍(ふるど・ほたる)もそのひとり。彼女の悩みは、小学4年生にして170cmに達している、高すぎる身長についてだった。

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共感多数。男女のリアルな“すれ違い”を描いた『恋のツキ』って知ってる?

ここ数年、大物芸能人や政界の人物など、世間を騒がす “不倫”報道が増えましたね。今やどんなマジメそうな人でも、裏で何をしているのか見えない世の中だと感じるばかりです。テレビや雑誌を見て「私なら絶対にそんなことはしない!」なんて思っていたそこのあなた。不倫はダメでも、“浮気”や、“乗り換え”は、アリ派ですか?世間からは悪く見えるけど、自分にとっては純粋な恋だと疑わないものだったら、どうしますか?『恋のツキ』は、そんな恋心と浮気心の狭間でゆれ動く気持ちを描いた作品。たかが漫画とあなどるなかれ。リアルな現実を正面から突き付けてくる痛々しさと、「この気持ち、わかる!」と思わずにはいられない共感性の強さをぜひ味わってみてほしいです。

まとめ

「神」は生きるよすがになるか。宗教がモチーフとなる作品3選

突然チャイムが鳴って出ると知らない人。熱心に自分の信じる宗教について語るが、何を言っているのかよくわからない。そんな経験した人はいないだろうか。   私はかなりの数、ある。おそらく「信じやすそう」と思われているのだろう。家にもくるし、学生時代は何度かキャンパスでも勧誘されたし、社会人になってからは合コンで知り合った女性からも熱心に勧められた。   私はあまりそういったものを信じていないので、「なんか怖いな」と思って深入りはしない。ただ、彼ら彼女らがなぜそこまでして熱心に信じ、広めようとするのか、それには興味があった。

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「世の中には本当に死んだ方がいい人間がいる」。古谷実が描く衝撃作『ヒミズ』の絶望と希望について

今まで読んできた沢山の漫画の中で、特に好きなセリフがある。 「まるでオレの人生の目標は長生きみてーだ」 古谷実さんの漫画『ヒミズ』の主人公、住田の言葉だ。 もう数年前だったけれど、このセリフを読んだとき、「ああ、別に私、長生きするために生きてるわけじゃないんだよな」と心がフワッと軽くなったのをよく覚えている。 住田のあの言葉はきっと、過酷な人生を必死に生きようとする彼の心の奥底からでてきたものなんだと思う。 今回は、私が大好きな漫画『ヒミズ』について紹介したい。

まとめ

一度読んだら、始めずにはいられない!? 趣味の“きっかけ”漫画4選

秋は気温も落ち着き、過ごしやすい季節。また、食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋というように、いろんなことに取り組みたくなる時期でもあります。 日ごろから「なにか趣味を始めたい」「新しい自分を開拓したい」と思ってはいても、実際のところ何が面白そうなのかは自分だけではわからないことも多いですよね。そんなときには、まず漫画を読むことから始めてみるのはどうでしょうか?今回は、主人公が夢中になっていることを読んでいる自分もつい始めたくなってしまう……そんな“きっかけ”漫画を紹介します。

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どうしたら「自分は誰よりも不幸だ」と言えるだろう?『世界で一番、俺が〇〇』

「好きな人にフラれた」 「就職の面接に落ちた」 「仕事でミスをして上司に怒られた」   生きていれば、辛いことも恥ずかしいこと山ほどある。そのたびに、ややもすれば、私たちはつい「自分が世界で一番不幸だ」とでもいうような顔で頭を抱えてしまう。   でも、ふと冷静になる。たとえば屋根のある家に住んでいたら、毎日の食事に不自由していないのなら、友人が一人でもいるのなら、誰よりも不幸だ、なんてこと言うことはできないのではないか。恵まれていることがひとつでもあるのなら、それがない人に比べて、幸せだと言える部分があるということではないか?

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京都の町屋に暮らす若手職人たちの美しい暮らし 『路地恋花』

ものづくりはお好きでしょうか。 大量生産品じゃなくて、職人の手でひとつひとつ丁寧につくられていて、客の趣味嗜好とか、思い出とか、内に秘めたる感情を込めていたりとか。そういう”ストーリー”のあるものづくりに惹かれるという人は結構いるような気がします。 さて、京都のとある一角に、若手の職人たちが職住一体の暮らしをしながらものづくりに打ち込む職人長屋がある。 路地(ろぉじ)の奥で、さまざまな”ストーリー”のあるものを生み出していく職人たちの姿と、彼らをとりまく恋を描いたオムニバスストーリー。 それが麻生みこと先生の『路地恋花』である。

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銃を捨てて、友達の手を握ろう。変態癒し系軍人JK4コマ『さよならトリガー』

自分の学生時代――小学校・中学校・高校の12年間――を振り返ってみると、クラスに「転校生」がやってきたのは2・3回だけだったと思う。それくらい、転校生という存在は非日常的で、滅多にお目にかかれない。 しかしながら、学校が舞台の漫画にはよく転校生が出てくる。1作品に必ず1人いると言っても過言ではないだろう。ときに主人公だったり、ときにテコ入れの新キャラだったり。 『さよならトリガー』の主人公・「アナ」ことアナスタシアは、遠い国から日本の高校に編入してきた銀髪碧眼の女の子。「外国人留学生」も、学園漫画ではお約束のひとつ。少し違うのは、彼女が各国の戦場を駆け抜けてきた歴戦の軍人であることくらいだ。

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「1巻で読み切れる傑作は?」と聞かれたら即答する漫画3選!

「おすすめの漫画はなんですか?」 これは書店員をやっていて訊かれる質問ランキング上位に入る。 ご来店されるお客さまだけでなく、家族、友達、初対面の人にも尋ねられることも多い。 この質問は答えるのが難しい。薦めたい漫画はものすごくたくさんあるから。もちろん訊いている本人たちは悪気がなく、純粋に「どの漫画を読めばいいのか」を知りたいのだと思う。商業コミックは月に1000点近く新刊が出続けているので選び方がわからないのは当たり前だ。 だから私は常に、すぐ答えられるものを何パターンかで用意している。