痛くて、苦しくて、優しい。戸田誠二作品で生々しい「生」に触れる
自分の能力や、置かれている境遇や、日々の生活に、十分な自信を持てる人は、あまり多くないと思う。将来への不安にさいなまれたり、大小さまざまな失敗を気に病んだりしながら、どうにか毎日をやり過ごしている。人前では明るく振舞いながら、そんな閉塞感を抱えている人は、決して少なくないはずだ。 今回取り上げる戸田誠二さんは、素朴で実直な作風でそんな「パッとしない大人」の心にそっと寄り添ってくれる漫画家だ。 彼のデビュー作から最新作まで、3つの作品集を紹介したい。