「欲情」は悪いことじゃないけど、ときに相手を傷つける。十人十色の“性の目覚め”を描いた『中学性日記』
たいてい、若いころに思い悩んだことの多くは、10年も経つと笑い事になるものだ。「なんであんなことで悩んでいたのだろう」と不思議に頭をかしげるが、おそらくそこは必要な通過儀礼のようなものだったのだろう。 シモダアサミの描く『中学性日記』を読んでいると、そんな些細な悩みやコンプレックスで頭がいっぱいだった頃を思い出す。 当作品は、多くの男女が性に目覚める「中学生」という時期に焦点を当てたオムニバス形式の作品である。 思春期の彼らは、自分にも他人にも意識が過剰で、とても不器用で、不安定だ。不用意に傷つけたり誤解しあう姿にもどかしく思う人もいるだろう。しかし、きっと必ずどこかで「ああ、私も昔そういうことで悩んでいたよ」と言いたくなる瞬間があると思う(あなたがすでに「大人」であるならば)。