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その「性的すぎる肉体」が女を“敵”と“味方”に分けてしまう『ひばりの朝』

Instagramを見ていると、どう考えても“遠近法”を使って自分の顔を小さく見せようとしているな、という女の子が山ほど出てくる。心底仲がいいと思っている友達とプリクラを撮りに行っても、シャッター音が鳴るたびに彼女が半歩後ろに下がっているのに気づいて辟易とする。彼氏ができたという話を母親は喜んで聞いてくれるが、あんまりにも幸せそうなノロケ話になると途端に「女」の表情になって心が離れていくのがわかる。親ですらそうなんだから、友達に「彼氏にされて嬉しかったこと」なんて言えるわけがない。 自分よりも幸せそう、自分よりも可愛い、自分よりもモテそう……誰かに対して「自分よりも」という言葉を使って比較しようとした瞬間、相手と私の間に対等な関係はない。そこにあるのは、マウンティングが前提の敵と味方に分かれた世界だ。

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どん底で苦しむあなたに寄り添う唯一の漫画『最強伝説黒沢』

失意のどん底にいる人に寄り添ってくれる漫画とは、どんな漫画だろう。仕事がつらい時にはビジネス漫画を読んで自分を鼓舞する?恋人にフラれた時には恋愛漫画を読んで次の素敵な恋を夢見る? 素敵な漫画の世界に没頭できたとしてもページから顔を上げた時に待っているのはつらい現実。漫画の中で描かれる苦しみにはテンポ良い起承転結が用意されているが、現実の苦しみは冗長で、劇的な展開が見込める保証もない。 素敵な漫画を読んで「現実はそんなにうまくいかねーよ……。」と思うくらいに落ち込んでいる時、ちょうど良い距離感で手を差し伸べてくれる漫画が今回紹介する『最強伝説黒沢』だ。

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作り変えられていく街で生きのびるために。『鉄コン筋クリート』

2020年のオリンピックに向けて東京は今、ものすごい勢いで作り変えられている。 都市開発のため、老朽化のため、街の発展のため……さまざまな理由で、きれいなビルがバンバン建てられていく。同時に、日本特有の下町風景が少しずつ姿を消している。 例えば、去年取り壊された下北沢・駅前食品市場。そこは映画版『鉄コン筋クリート』の、ある場面のモデルになった場所であった。

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建前や世間体なんて全部捨てちまえ「クソムシが」。思春期のぐちょぐちょの欲望を暴き出す青春ストーリー『惡の華』がすごい

自分の中にある「キモチワルイ部分」と向き合ったことがあるだろうか。 中学生くらいの頃、偶然を装って好きな人を待ち伏せてみたり、好きな人の席にドキドキしながら座ってみたり。 そういう経験って誰にでもあると思ってる(あくまで個人の意見です)んだけれど、「過去の黒歴史」として自分の中で閉じ込めて、否定してしまいがちじゃないですか。「違う違う、あれは一時の気の迷いで〜」とか、「若かったから仕方がないんだよ」とか。 でも、それって実は「本当の自分」だったのかもしれない。 見過ごしてはいけない部分だったのかもしれない。 そう思うことがある。

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見えない首輪を解き放つのはヒップホップだ! JKラップバトル漫画『Change!』

近頃は、空前のフリースタイルラップバトルブーム。 テレビ番組でもラップバトル(MCバトル)が取り上げられるようになり、一般の人でもラップを楽しむ機会が増えた。 そこで、なにやら香ばしい香りとともに現れたのが、ラップバトル漫画『Change!』。 しかも、主人公は「女子高生」と来ている。 おいおい、もう勘弁してくれよ。 流行り物になんでも乗っかって漫画にするの、もうよそうぜ? 異色の主人公を詰め合わせる手法も、もうこりごりだ。 そうやって、いつものスタイルで「批評家オタク」をキメてから、パラパラとページをめくったとき、何気ない日常シーンにそのフレーズは訪れた。

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この世のものとは思えないほどの美人…なのに男!?青春+ケンカ+ファンタジー『天使な小生意気』のススメ

「漫画のキャラで、最も美人だと思うのは誰か」 なんて話を、先日友人とした。 いや、すごい非生産的な話だってことは分かってるんですよ。でも、楽しいじゃないですか、こういう生産性のない話って。 『銀河鉄道999』のメーテルかなぁ、いやいや、そこは王道の『ルパン三世』の峰不二子ちゃんでしょ……とかなんとか話していたところで、ふと気が付いた。

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謎解き×ホラーの名作『ゴーストハント』は怖過ぎて少女漫画ってレベルじゃない

筆者は結構ホラー好きなので、はじめて買った漫画は『本当にあった怖い話』みたいなやつだったし、貞子が出てくる「リング」シリーズも全部見た。昔、とあるホラー映画を1人で観に行ったら私以外が全員カップルで心が死んだことがある。 さて、さまざまなジャンルのホラー作品に触れてきたなか、「少女漫画で『いちばん怖い作品は?』」と聞かれたら、即答でこの作品を答える。 いなだ詩穂先生の『ゴーストハント』だ。

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大人でも子供でもない。『ヒメゴト〜十九歳の制服〜』には19歳の葛藤や渇望がすべて詰まっている。

あなたは誰にも言えない「欲望」を抱えたことがあるだろうか。   「こうなりたい」という変身願望でもいいし、「あの人とこういう仲になりたい」でもいい。どうしようもなく、何かを猛烈に求めたことがあるだろうか。   わたしは最近ある作品を読んで、19歳の頃の「渇き」を思い出した。   峰浪りょう先生の『ヒメゴト〜十九歳の制服〜』である。

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絶世の美少女、友達が0人です『古見さんは、コミュ症です。』

漫画『古見さんは、コミュ症です。」で使われている「コミュ症」の文字は、ちょっと変わっている。この漫画でしか出てこない造語だ。 本来ネットで使われているのは「コミュ障」「コミュニケーション障害」。「コミュニケーション障害」は、実際ある病気の名前。最近はネットスラングで「コミュ障=人としゃべるのが苦手な人」と使う場合が圧倒的に多い。   この作品に出てくるヒロインの古見硝子(こみ・しょうこ)は、極端に人と話すのが苦手な子。だから、一般的には「コミュ障」と表記されるかもしれない。けれどもこの漫画はあえて「コミュ「症」」を使っている。障害ではないよ、乗り越えられるものだよ、という優しい視線を感じる。

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ありふれたB級グルメも、セレブにとっては珍しいごちそうになる『集え!庶民めし部』

おいしい料理の条件って、なんだろう。 材料の質や鮮度、作る人の腕前、色々あるが、「安さ」もそのうちのひとつだと思う。どんなに味がよくても、値段が高すぎたら「おいしいけど、値段の割には……」と考えてしまうはず。 だとすると、ごく一部のお金持ちしか食べられない高級フルコースより、一般人でも気軽に食べられるB級グルメの方が、「おいしい料理」と言えるのではないか――? そんな仮説を立てて庶民めしの研究に勤しむセレブ男子と、彼の道楽に巻き込まれる庶民女子がおりなすグルメラブコメディ。それが、今回ご紹介する『集え!庶民めし部』だ。