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好物は他人の不幸話。不謹慎ヒロインによる明るい学園コメディ『黒森さんの好きなこと』

1948年に創業した出版社「ぶんか社」。TVドラマがスマッシュヒットを記録した『義母と娘のブルース』の原作漫画の発行元でもある。 ぶんか社が毎月発行している漫画雑誌に、「本当にあった笑える話」(通称「ほんわら」)シリーズがある。読者から投稿された体験談・目撃談をコミカルに漫画化しているのだが、掲載されるネタは「楽しくて笑える」ものだけではない。むしろ、浮気、借金、芸能人のゴシップなどのエピソードも多かったりする。 今回は、そんな「ほんわら」をいかにも愛読していそうなヒロインを紹介したい。他人の不幸が何よりも好きという、『黒森さんの好きなこと』の黒森冥(くろもり・めい)だ。

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大人が萌え狂う!!汗っかき女子×匂いフェチ男子の猪突猛進ラブコメ『あせとせっけん』

なんやこれクッソ萌えるやんけ!どないなっとんねん!! 初めて読んだとき、胸キュンが臨界点を起こして仰け反ったまま動けなくなった。1巻発売したら絶対に買おう、そして記事を書いてみんなに布教しよう……。 と思っていたら、1巻発売で即日重版。いきなりのスマッシュヒットを叩き出した金田近鉄先生の『あせとせっけん』をご紹介したい。

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クセになる読み味がたまらない…。オンリーワンの“動物グルメコメディ”『ワニ男爵』

『ワニ男爵』は、2016年から2018年にかけて「モーニング」(講談社)で連載された作品。 おそらく前代未聞&空前絶後の「動物グルメコメディ」と呼ぶべき漫画だ。 主人公のワニ男爵ことアルファルド・J・ドンソンは美食の小説家。彼を「先生」と呼んで慕うウサギの少年・ラビットボーイ(通称ラビボ)と連れ立って、たびたび美味しいものを求めて旅に出る。ワニ男爵はふとしたきっかけで我を失い、野生が顔を覗かせてしまうこともあるが、日ごろはその一面を抑え、紳士的に生きることに心を砕いている。

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彼らと私たちの世界に違いなんてない『土星マンション』

ネットやテレビで目に入る悲しいニュースや、自分の身の回りで起きた「しんどいな」って思ってしまう出来事。ちょっと嫌なことがあると現実逃避したくなりますよね。私はなります。 そして、そんな時こそ漫画だ!とページをめくる。 でもそこには、いや、そこにも私たちの世界と変わらないものがありました。 『土星マンション』の深みをあなたにもぜひ味わってみてほしい。

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記憶をなくした人々が静かに暮らす、ここは最後の理想郷『ラストピア』

この漫画は、何よりもまずタイトルがいい。最後の理想郷――『ラストピア』。たった5文字の中に、本作の優しくも儚げな世界観が凝縮されている。 単行本の表紙にも、アルファベットで小さく「LAST UTOPIA」と書かれている。しかし、私にはこのタイトルの「トピア」が「ユートピア」だけでなく、「ディストピア」の意味も含んでいるように思えてならない。 物語の舞台となる架空の島・エオニオ島。きれいな景色と、料理がおいしいホテルと、いくつかのお店がある、ありふれた観光スポットだ。変わっていることといえば、住人の多くが記憶喪失であることくらい。

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ハイスペックなイケメン攻め様の執着愛はありかなしか?大人カワイイ婚活奮闘BL『please,marry me!!』で検証してみた

顔良し、スタイル良し、性格良し。本気で惚れた相手には一途で、おまけに料理の腕もバッチリ。そんなハイスペ男子は無条件で正義だと思ってやまない100%外野の自分ですが、日塔てい先生によるラブコメ集『please,marry me!!』を読んでその信仰心が若干揺らいでいます。 爽やかな笑顔を浮かべたイケメンがあの手この手を使って外堀を埋め、ターゲットを完全包囲する手管はアウトかセーフか。ときめきと寒気がほぼ同一量で味わえる執着愛の是非を問わせてください!

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変人オタク・ヤマザキマリ流の伝記漫画がわかり易くて面白い!『スティーブ・ジョブズ』

ヤマザキマリと言えば、古代ローマと日本の温泉をテーマにしたコメディ『テルマエ・ロマエ』が有名だ。 彼女は「変人」のことが大好きだ。 テレビ番組「アナザースカイ」に出演した際にも『プリニウス(『博物誌』を著した古代ローマの博物学者でかなりの変人らしい。彼女はプリニウスを題材とした歴史漫画を連載していた。)』の紹介をする際に鼻息が荒くなっていた。 変人とは字のごとく変な人のことだが、たしかにプリニウスはローマ時代山が噴火した時に人々が逃げる中、ただ一人噴火した山に向かって走り出すなど知的好奇心で周りが見えなくなる「知るため」には手段を選ばない変わり者だった。

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寡作な漫画家・豊田徹也が描く映画のワンシーンのようなショートストーリーズ『珈琲時間』

漫画記事を書くなら僭越ながらぜひ紹介したいと思っていた大好きな漫画家の一人に、豊田徹也先生がいる。 学生時代、彼のデビュー作『ゴーグル』(講談社)を本屋でジャケ買いしたのがきっかけで彼を知った。 瞬時に「好きだ」と思った。物語合間合間の余白の作り方が秀逸で、映画館で映画(とくに情緒のある人間ドラマのような映画)を観ているときのような味わい深い時間の流れ方に、良いものを読んだ時に出るため息がでた。 デビュー作『ゴーグル』はアフタヌーン四季賞夏の四季大賞を受賞している。審査員であった故・谷口ジロー氏に「ほとんど完璧な作品だ」と言わしめたほどの実力の持ち主だ。

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35歳、独身、借金持ち。負け組中年男が救われる話『野村24時』

漫画の登場人物は、基本的に年を取らない。学園モノの先生キャラがいつの間にか年下になっていたり、自分のほうが年上になってからもお姉さんキャラを「○○姉(ねぇ)」と呼んだりしてしまうのは、よくある話だろう。 かくいう私も、子どものころは自分と同年代の主人公が冒険する少年漫画に心を躍らせていたはずなのに、気がつくともう30過ぎ。数年後には「アラフォー」の入り口、35歳に足を踏み入れる。 そう。知る人ぞ知るヒューマンドラマ4コマ『野村24時』の主人公、野村と同じ年齢に。

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女子大生が恋をした相手は……。映画を通して近づく2人を描いた『水曜日のシネマ』

これは、1つのラブストーリー。ヒロインは、アルバイトを始めたばかりの18歳女子大生。そして恋をした相手は、42歳の店長だった……。これが、『水曜日のシネマ』の大まかなあらすじだ。この作品がユニークなのは、24歳もの年の差恋愛が描かれているという点だけにあらず。映画紹介漫画としても読めるところだろう。 作中には、実にさまざまな映画が登場する。例えば、「ニュー・シネマ・パラダイス」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、「E.T.」、「フォレスト・ガンプ」などなど。これらは、いわば名作と呼ばれている映画だ。観たことはなくとも、タイトルだけなら知っているという方も多いだろう。これらの作品が、『水曜日のシネマ』のストーリーに大きく絡んでくる。