歴史

レビュー

当たり前を当たり前じゃないものに。海賊たちが生きた時代『ヴィンランド・サガ』

おじさん臭いことを言うが、歴史にはロマンがある。 現代のようになんでもかんでもデータで残る時代じゃない訳で、いくら文献を読み込んでも人々の暮らしの隅々までは分からない。 だからこそ「あの頃はこうだったんじゃないか」と想像することが歴史の楽しみ方の一つだ。 歴史に思いを馳せること。ロマンだ。ロマンでしょ?ロマンです! しかし「あの頃」は殺し合いや略奪、奴隷制が当たり前に存在していた。 現代に生きる中で、特に日本に住んでいるとなかなか理解できない感覚だ。ロマンという言葉だけで歴史を見ていて良いものか?時々、考えてしまう。 どこにも記録が残っていない悲しい話や、薄暗い気持ちになる出来事も数多いだろう。虐げられ、苦虫を噛む人だっていたはずだ。 それが「当たり前」。いつも通りの日常で、普通だった。 『ヴィンランド・サガ』はその時代の「当たり前」を変えようとする人物たちの物語である。

レビュー

「好きなことで生きていく」を江戸時代に実践した女性の物語『北斎のむすめ。』

浮世絵師・葛飾北斎には、同じく絵師の娘がいた。画号を「応為」、名を「お栄」という。 世界的に有名な父親に比べると知名度は低かったものの、近年になって、実は北斎にも匹敵する才能の持ち主だったと評価され始めている。 何より、「葛飾北斎を父に持つ女浮世絵師」という、まるで作り話のような設定。彼女を主人公にした小説『眩』(新潮社)が『眩(くらら)~北斎の娘~』として実写ドラマ化されたり、スマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order』にも北斎とセットで登場したりと、エンタメ業界においてもお栄の活躍は目覚ましい。 今回紹介する『北斎のむすめ。』も、そうした流れを汲む作品のひとつ。タイトル通り、お栄の青春時代を描いた歴史漫画だ。

レビュー

虚々実々の歴史ミステリー・エンタテインメント! 宗像教授に民俗学を教わりたい! 

知的興奮を味わいたい! 歴史の謎に迫る漫画を読みたい! 荒唐無稽な神話や伝説の影に隠れた歴史の真実を知りたい! 繋がらなかった二つの謎がパッとつながる瞬間が好きだ! 歴史のそこここに潜むあやしいもの、オカルト風味が好きだ!   そんな人に私がおすすめしたいのが『宗像教授』シリーズです。

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江戸時代の性風俗がよくわかる『浮世艶草紙』にドキドキ

主に江戸時代を中心に描かれた、性風俗の絵画、春画。   2015年に東京で、2016年には京都で開催された「春画展」は、性を取り扱う展覧会ながら大盛況だった。東京会場では20万人を超える入場者数を突破したそうだ。   なんだかんだ言って、みんなやっぱり性のことには興味津々なのである。たった150年前でありながら、性の価値観が驚くほど違っていた江戸時代。そのさまざまなエロスに思いを馳せた人は多いはず。   そんな「江戸のエロが知りたい!」という欲望を存分に叶えてくれるの漫画が『浮世艶草紙』なのだ。