記憶をなくした人々が静かに暮らす、ここは最後の理想郷『ラストピア』
この漫画は、何よりもまずタイトルがいい。最後の理想郷――『ラストピア』。たった5文字の中に、本作の優しくも儚げな世界観が凝縮されている。 単行本の表紙にも、アルファベットで小さく「LAST UTOPIA」と書かれている。しかし、私にはこのタイトルの「トピア」が「ユートピア」だけでなく、「ディストピア」の意味も含んでいるように思えてならない。 物語の舞台となる架空の島・エオニオ島。きれいな景色と、料理がおいしいホテルと、いくつかのお店がある、ありふれた観光スポットだ。変わっていることといえば、住人の多くが記憶喪失であることくらい。