結局、誰もがおひとり様。なんだか孤独な夜に読みたい『おひとり様物語 -story of herself-』

レビュー

おひとり様、してますか?
私してる。今日もすごくひとり。
 
女性のおひとり様と聞くと、なんとなく私のような「独身独居、彼氏なしの20~30代」というイメージが出てきます。
が、『おひとり様物語 -story of herself-』に出てくるのは、それはそれは多種多様なおひとり様。

おひとり様物語 -story of herself-
©谷川史子/講談社
 
独身、バツイチ、長年彼氏なし、彼氏にフラれたばかり、仕事が恋人、遠距離恋愛の孤独、同居しているのにすれ違い……。
 
恋人の有無などに関わらず、ここにはあなたにソックリなおひとり様がいるかもしれません。
 
サンプルとして2名のおひとり様をご紹介するので、ぜひ覗いてみてください。
 

<おひとり様ケース① 山波久理子(28)>

 
書店員の久理子(くりこ)は、「独身独居、彼氏なしの28代女性」です。あれ、私?
 

 
好きな本に囲まれて働き、仕事が終われば買い物をして家で自炊、雑誌をもちこむお風呂タイム、ふかふかのイスでワインとクラッカーを嗜みながら読書にふける。
 
お休みの日にはひとりで街をぶらぶら、ふと見つけたお店でブランチ、コーヒーとケーキに舌鼓を打ちつつ雑誌を読んで「あ、新しいマグカップほしいな」なんて考えながらワクワクする。
 
お察しの通り、独身独居ライフをとことんエンジョイしているおひとり様です。
 
結婚を焦る&恋人を欲する描写はゼロ。
 

 
21歳のアヤちゃんには、久理子は「友達のいない孤独なアラサー」に映るようです。
 
違うんですよね。そうじゃない。
友人もいるし、寂しいわけでもない。
 
そうじゃないけど、モヤモヤする久理子の気持ちも分かります。
 

 
仕事で失敗、ふと入ったお店でカップルに囲まれ、家に帰って仲良しの友人たちに電話するも全員不在。
 
今の生活に不満があるわけではない。
それでも、どうしようもなく「おひとり様」の寂しさを突きつけられる夜があるもんです。
 
もうな、分かりすぎてつらい。
 
だからって「よーし! 私も結婚相手を見つけるぞ!!」なんて安易な展開にはならないところが、本作のいいところです。
 

<おひとり様ケース② 吉田悠希(26)>

 
続いては、おひとり様ではないけどおひとり様な女性です。あるある。いるいる。
 

 
26歳の悠希は、半年前から彼氏と同棲中。
生活リズムが違う&ふたりともマイペースのため、なかなかコミュニケーションが取れない生活が続いています。
 
そんな日々を、特に憂うこともなかった悠希。
 

 
しかし、女友達がこのように唆したことで、悠希の中に小さな不安が生まれます。疑心を煽り合うような女子会、お前らホントやめような??
 

 
信頼し合っていると思っていた相手なのに、ひとたび疑い出すと止まらない。
 
彼氏がいても、一緒に住んでいても、結婚していても。
相手が他人である以上100%理解し合うことは難しく、ふとしたきっかけで孤独な気持ち、「メンタルおひとり様」になってしまうものです。
 
相手の携帯を見たい。浮気をしているのか確かめたい。
 
でも携帯を覗くなんてありえない。大好きな人を疑いたくなんかない。
 

 
そんな想いの狭間で揺れに揺れに揺れる悠希。
 
この後、悠希と彼氏がどんな結末を迎えるのか。彼氏の浮気が心配でついつい携帯を見てしまうメンタルおひとり様は、ぜひ読んでください。
 
こんな感じで、次から次へと「おひとり様」が登場する本作。
私にとっての久理子のように、きっと「ものすごく共感できるおひとり様」が出てくると思います。
 
そして、どのお話も「おひとり様でも、おふたり様でも、自分らしく強く楽しく生きていこう!!」と前向きな気持ちにさせてくれるのが嬉しいところ。
 
なんとなく、今の日々に、将来に、仕事に、恋愛に、おひとり様の不安を抱えている方。
 
ぜひ『おひとり様物語 -story of herself-』を読んで、いろんなおひとり様に勇気をもらってください。
 
 
おひとり様物語 -story of herself-/谷川史子 講談社