猛暑に負けずに夏を感じたい!8月に読みたい漫画3選

まとめ

梅雨が終わるやいなや、ぐんぐん気温は上昇していき、近年稀にみる猛暑日が続いている。
 
少し暑さがやわらいだと思ったら、また猛暑日。暑さは嫌だけど、夏は好き。そんな方におすすめしたい3作品をご紹介。うだるような夏に、ひんやり冷房の効いた部屋でぜひ読んでいただきたい作品ばかりだ。

夏休み限定、父と娘の同居生活を描いた『真昼のポルボロン』

 

真昼のポルボロン
©Nozo Itoi 2018/講談社
 
まず紹介したいのは『真昼のポルボロン』。
 
ある親子の、一夏の同居生活を描いた物語だ。
 
9歳の蒼井るつぼは、出生時に母親を亡くし、母親の姉夫婦に育てられてきた。
 

 
しかし、ある日突然父・岩下縞から「るつぼを引き取りたい」との連絡が。いきなり始まった父と子の夏休みの二ヶ月限定の同居生活。初めて接する実の父親に対して心を閉ざしているるつぼと、娘との向き合い方に戸惑う縞の親子関係はこそばゆくかわいらしい。
 

 
シリアス展開あり、親子のほのぼの要素ありの本作。随所に散りばめられた可愛らしいモチーフにも夏を感じさせられる。例えば、キラキラのトッピングが乗ったアイスフロートやハート型のサングラスがポップでかわいい。
 

 

 
夏休み期間を通じて、心を通わせていく父娘二人の成長物語。
 
ギュッと詰め込まれた夏の描写にも注目してお読みいただきたい。
 

「人間の神秘」を描き出す。心地よい海の描写が特徴的な『海獣の子供』

 

海獣の子供
©五十嵐大介/小学館
 
思わず見とれてしまうような水彩の透明感。美しい自然描写が特徴的な五十嵐大介氏が手がけた『海獣の子供』を紹介しよう。本作は人間の神秘や、海と人間の関係を描いた物語だ。
 

 
物語のキーとなるのは二人の少年・海と空。
 
二人は乾燥に弱く、海中での生活が中心という不思議な幼少期を過ごした。実はジュゴンに育てられていたところを、3歳の時に科学者のジムとジジによって保護され、育てられたのだ。
 
ストーリーは、ある日人付き合いが苦手な中学生の主人公・琉花が、東京湾で空と出会ったことから動き出す。世界中の海で隕石が落ちたり、身体が発光する「白斑」を持つ魚が発見されたりと、ただならぬ現象が連続して発生する。奇妙な現象はなぜ起こっている?そして、海と空とは何者なのか?
 

 
本作は、ストーリーの壮大さはもちろん、その迫力ある描写も相まって、自分が深い海の底の中にいるような感覚を味わえる。ジブリ映画が好きな方には、かっちりとハマるはずだ。
 
5巻にコンパクトにまとめられているが、その世界観とスケールの大きさを楽しんでいただきたい。
 

忘れていた少年時代の夏が蘇る『なつのロケット』

 

なつのロケット
©あさりよしとお/白泉社
 
“ペットボトルロケット”と聞いて、悶絶しかけなのは私だけではないはず。
 
実際に作ったことがある方はもちろん、工作が苦手だった方も、きっとこの名は聞いたことがあるのでは?そして、友達と一緒に無茶なことをした夏。きっと誰にでもあるのではないだろうか。
 
『なつのロケット』は、ペットボトルロケット作りが得意な小学生5年生の少年・北山泰斗が、仲間たちとともに、夏休みに本物のロケットを打ち上げてしまうという話。
 

 
泰斗は、物知りで優秀な児童として、クラス内で一目置かれる存在だ。持ち前の頭脳を駆使し、ペットボトルロケットを遠くまで飛ばす術を得た泰斗は、自分なら本物のロケットもつくれるのではないかと画策し、ひと夏の挑戦をはじめる。
 

 
しかし、泰斗の挑戦を阻むのが現れる。より遠くにペットボトルロケットを飛ばした謎多き転校生・三浦。ことあるごとに泰斗に突っかかってくる三浦にいらだちを覚えるが……。
「転校生がライバル」「だいすきな女の先生」「仲間割れ」という青春要素がふんだんに盛り込まれたストーリーを1巻にぎゅっと凝縮させた本作は、儚い夏の思い出がくっきりと描き出されている。きっとウン十年前の夏に引き戻され、センチメンタルな気持ちになることだろう。
 
あまりの猛暑に、まだ「夏らしさ」に向き合えていない人もいるのではないだろうか。
 
夏らしいかわいいモチーフに思いを馳せる『真昼のポルボロン』
 
まるで自分が海中にいるかのよう。海の描写が特徴的な『海獣の子供』
 
きっと誰もが友達と無茶をした、幼い頃の夏の記憶が蘇る『なつのロケット』
 
以上の3作品を読んで、夏に思いを馳せていただきたい。
 
 
真昼のポルボロン/糸井のぞ 講談社
海獣の子供/五十嵐大介 小学館
なつのロケット/あさりよしとお 白泉社