講談社

レビュー

生まれた場所や家族によって、私の“幸せ”は決まるのか?『死にたがりと雲雀』

昔、上司に毎日のように怒鳴られなじられ、死にたくなりながらも職場に通う日々があった。いま思えば完全なるパワハラだったが、その環境にいるとなかなか気付かなかったりする。結果的に隠れてやっていた副業先の企業から「これくらいのお金を出すからフリーランスになってはどうか」という提案をされたことで、私はその職場で耐え続ける以外の選択肢を考えることができた。あのときの「ここから抜け出せるのか」という希望に満ちた喜びは、今も忘れない。

レビュー

絶望を経験した全ての人たちに送るラーメン漫画『ラーメン食いてぇ!』

日本の国民食、ラーメン。   そんなラーメンを題材にして、「もう駄目だ」と思うくらいの絶望を経験したすべての人に送る、ぜひ読んでほしい名作がある。   群馬県の小さなラーメン屋の1杯をめぐって、さまざまな人々の「生きる意志」が折り重なるハートフルストーリー、それが『ラーメン食いてぇ!』だ。

レビュー

血が沸騰するような熱を感じたければバシ漫画を読め! 『バシズム 日本橋ヨヲコ短篇集』

人生観を変えられるような、価値観を揺さぶられるような、そんな漫画や漫画家に出会うことがある。 日本橋ヨヲコは筆者にとってその一人で、おそらく、読んだ人の「特別な作家」になる確率の高い漫画家であると思う。   今回取り上げるのは、彼女のデビュー作を含む初期短編集『バシズム 日本橋ヨヲコ短篇集』だ。

レビュー

俺の母さんがこんなに可愛いわけがない…! 『大蜘蛛ちゃんフラッシュ・バック』

男子たるもの、どんな人にも多少なりともマザコンの気があるもの。   実家に帰れば、なんだかんだで母親の健康や体調に気を使ってしまったり、 社会人としての姿を褒められるとつい嬉しくなってしまったり……。   僕はマザコンか、といわれると反射的に「違うわ」と言いたくなるものの、ハッキリと否定できないタイプの男子です。

レビュー

飯がうまいからって仕事が進むわけじゃない。食材も調理過程も全部イカれたグルメ漫画『めしにしましょう』

そこは、漫画家广大脳子(まだれだいのうこ)の仕事場。   敏腕アシスタントである青梅川おめがは、料理の腕も一級品。作業の合間の飯は彼女が作る。過酷だと言われる漫画家の仕事場で出る料理、きっと疲れた漫画家の胃を優しく癒す素材や、徹夜を手助けするエネルギー満点の料理を出すのだろう。そして、元気になった漫画かはまた仕事場に戻るのだ……。

レビュー

決してファンタジーではない。感情がたぎる人間模様を描いた『千年万年りんごの子』

友達に勧められたり、レビューの評価が高かったり、何度も名前を聞くが読めていない漫画はないだろうか。 絵柄が嫌いなわけでもないし、おそらく読めばおもしろい。 しかし、なぜか手を出さずにいる漫画だ。   『千年万年りんごの子』は私にとって、なかなか手が出せなかった漫画のひとつだ。 2012年に第16回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で新人賞も受賞しているとあって、タイトルはそこかしこで聞いていた。

レビュー

「こんな兄さえいなければ……」兄と妹、傷だらけの家族再生物語『ふつつか者の兄ですが』

私事で恐縮ですが、わたしには「コミュ力高めの爽やか痩身スポーツマン」な2歳上の兄がいます。   そんな兄のおかげで、中学時代は「アイツの妹」として先輩にかわいがられたり、同級生に羨ましがられたりしたものでした。兄、その節はありがとう。   そんな経験もあり、「特に思春期において、兄弟の存在は少なからず自分の学校生活に影響を与える」と感じています。

レビュー

「お前と関わるとみんな不幸になる」。17歳の心の闇を描いた『シガテラ』のすごさ

不運なことが続いたとき、「全部自分のせいなんじゃないか」なんて、思ってしまうことはありませんか?   何をやってもうまくいかないと、自分自身が「不幸のタネ」のような気がしちゃうことが私はよくあります。いわゆるネガティブ思考なのかもしれませんが、こういう人って少なくないと思うんです。   今回ご紹介する漫画『シガテラ』は、まさに「自分のせいで周りが不幸になってるんじゃないか」と思い悩む少年の人生を描いた漫画です。