まんが王国で連載を再開して以来、強い人気を誇る『君に愛されて痛かった』が6月9日ついに単行本第1巻が発売されました。
そこで、今回、単行本の発売を記念して、発売に至るまでの道のりと、単行本第1巻の見どころなど、知るかバカうどん先生とその担当編集K澤さんにインタビューさせていただきました。

知るかバカうどん先生(以下うどん):K澤さんに描いて下さいと言われたので、描きました。
編集K澤:うどんさんへの企画のオーダーは「最底辺の恋愛漫画を描いて下さい」でした。
編集K澤:うどんさんが今まで描かれてきた作品は、何かしら問題を抱えた人たちの描写の生々しさが非常に面白いと感じてました。登場人物の中に誰か悪い人がいるかと言うと、ある意味全員悪くて、全員悪くないっていう、皆が皆一生懸命やっているけど、結果的に不幸になるっていうことを表現している作品ばかりで、この感覚にリンクするファンは既にうどんさんにはたくさんいらしたんです。
編集K澤:それを元々は、成人マークのジャンルで描かれていました。成人マークでは必ずエロ表現を入れなければいけないのですけれど、それよりもこの、人間描写を前に出した方が、多くの人にうけるのではないかと思ってお仕事をお願いしました。
うどん:だそうです(笑)。
編集K澤:私が答えてますね…。
編集K澤:それでお声をかけて、うどんさんの表現を恋愛漫画というカテゴリでやるとどうなるかっていうことを考えて企画を固めて頂きました。

うどん:鳴海くんの原付ですかね。

ラボ:バイクがお好きなのですか?
うどん:別に好きではないんです。背景と持ち物をちゃんと描かへん漫画って、読もうと思わないんですよね。
ラボ:そういう風に細かく描いていらっしゃるというのは、読者も気付いているようで、まんが王国の「まんがレポ」にもナ〇キのAirだったり靴とか細かな描写のことを書いている人もいるようです。
うどん:そういうのは描きたいなと思って描いているんです。
編集K澤:ディテールが見えると、その人の生活が想像できるので、ちょっとしたものからこの人はどういう性格かっていうのがわかる。そういうのを考えてアイテムを選んでいるので、絶対これじゃなければいけないという風に描いているんです。
ラボ:こだわりがあるんですね。
うどん:一花ちゃんのドライヤー、ダ〇ソンじゃないですか。金持ちなんですよねー(笑)。



うどん:笑っている顔以外です。
ラボ:なるほど…笑っている顔自体が確かに少ないですけれども、読んでいてすごく表情が豊かといいますか、色んなパターンがありますよね?
編集K澤:かなえちゃんで言えば心の底から笑っている表情ってほとんどないんです。大体の笑顔が作り笑いで。

ラボ:確かに、そうですね。でも、それが逆にリアルだったりもしますよね。ちなみに今後、笑顔になる予定はありますか?
うどん:一応あります(笑)。
ラボ:ありがとうございます。かなえちゃんファンも喜ぶと思います。
うどん:喜ぶんですかね……。
うどん:人間になりたかったからです。
ラボ:また深いですね。元々絵が好きだったという感じなのでしょうか?
うどん:え、好きやったんですけど…。なんで志す…難しい。なんて言ったらいいのか。
うどん:漫画家になりたくてなったんじゃなくて、勝手になってたんですよ。最初は同人誌の壁サークルになりたかったんです。漫画家になりたかったわけじゃないんです。
ラボ:どうして壁サークルになりたかったんですか?
うどん:自分は漫画家になれないと思っていたから。同人やったらプロでもアマでもいっぱいいるじゃないですか。誰でもなれると思ったし、そこの1番になりたかっただけ。けど漫画家はもっとすごいところやから、なられへんやろなって思ってました。
ラボ:でもいつの間にか?
うどん:はい。ちゃんとなれてるのかわからないですけど(笑)。
うどん:承認欲求を満たしたかったから絵描いてたんですよね。で、その発表の場がコミケやったんですよ。壁サークルって売れ線のもの描いてたら絶対行けるんですよ。グッズとか大量に持っていったらなれるとか。裏ワザがあるんですけど、そういうのを全部無しにして自分の描きたいもので1番になりたかった。
編集K澤:漫画を描くことで「人間になる」ということでしょうか。その承認欲求を満たす手段は、漫画以外にも色んな選択肢があったわけじゃないですか。
うどん:一通りやったんですけど、全部おもろなかったから。
うどん:『最終兵器彼女』と…あと『闇金ウシジマくん』と『新宿スワン』ですね。
ラボ:『最終兵器彼女』と言われてなるほどって思いました。
うどん:めっちゃ描写丁寧じゃないですか。カバーの裏までめちゃくちゃデザインにこだわってるし。すげぇなって。
ラボ:そうですね、確かに。『新宿スワン』と『闇金ウシジマくん』はどこがお好きなのですか?
うどん:『新宿スワン』はブサイクな人と可愛い人の描き分けをすごいちゃんとやってて、可愛い子は都内で働けるけど、ブサイクな子は土浦に飛ばされるって話がすごくいいなぁって。
ラボ:やっぱり視点が違う気がしますね。でもそういうこだわりの部分は先生の作品にもすごく出ているなっていうのは先ほど聞いて思いました。やっぱり描き分けはかなり意識されているのかなと思いました。
編集K澤:土浦とか具体的な情報に惹かれるのは、漫画のキャラクターを生きた人間として見ているからだと思います。『最終兵器彼女』も日常描写の積み重ねで、その背景にあるものを想像させる。そいうことをやっていて…。アイテムでも地域でも、その漫画の世界の中でちゃんと人があがいているような感じがきっとお好きなのかと。『闇金ウシジマくん』も同様だと思います。

ラボ:先生のお名前ってすごく特徴的ですが、目立つという理由だけでつけられたのだとか?
うどん:そうです、そうです。え、名前に意味とか価値を置く必要ってあるんですか?
ラボ:初めて聞いた時に、男性かと思いました。
うどん:はい、みんな言います。なんか適当に、語呂がいいのは意識してたんですけど、意味とかは気にしてない。作家さんの名前でなんかホストみたいな名前の人いっぱいいるじゃないですか。うわ、絶対かっこいいやんと思ってコミケとかで見に行ったら、めっちゃブサイクやったってこととかザラにあるから、絶対いやや。期待したくないんですよね。
ラボ:でもやっぱり名前って目立ちますよね。最初に雑誌で『君に愛されて痛かった』を見た時も扉絵にあった作者名に目が行きました。なんだろうこれ…と。
うどん:なんか興味が惹かれたら、よかったなあって思えるから。
うどん:絶対誰も幸せにはさせない。
ラボ:なるほど、いいですねー。させないと。
編集K澤:第1話の冒頭に繋がっていく。バッドエンドであることは最初に提示してあるので。
うどん:ハッピーエンドを期待させてはいけないじゃないですか。かわいそうに…(笑)。
編集K澤:皆悪いけど誰も悪くない。先ほども言いましたが、この状況でこういう関係性、こういう風に出会ったらこうなっていくよねっていう…なるべくして皆不幸になっていくという構造かなと。
うどん:努力してるのは描きたいです。努力してないやつは見たくない。
うどん:何を言えばいいんやろ…。頑張って生きてください。効率のいい努力をして、幸せになってください(笑)。
編集K澤:この漫画の登場人物みたいになるなと。
うどん:ならないで欲しいです。
ラボ:インタビューは以上です。ありがとうございました。
うどん:え、もう終わりですか。全然おもろいこと言えへんかった。
編集K澤:とみ子への愛を語ったらどうですか?

うどん:とみ子ですか。ブサイクもブサイクで努力してるんで、皆優しくするべきやと思うんですよ。
編集K澤:作中にいじめをしているキャラクターが何人かいるじゃないですか。その中で明らかにブスな子が1人いるんですよね。ビジュアルだけで言えばカーストは本当はかなえちゃんより下に来るはず。だけれども、そうならないために一生懸命努力して、ゴ〇ブリ放り込んだりして自分の立ち位置を確保しているんです。
うどん:愛くるしいですね。
編集K澤:かわいい、かわいいってずっと。書店さん用のコミックスの特典とかもとみ子を描きたい描きたいと言ってました。やめましょう。
うどん:残念です。けど数字のためやったらしゃあないです(笑)。
ラボ:知るかバカうどん先生、担当編集のK澤さんありがとうございました!

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